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朝日カルチャーセンター☆ブログ

関西4教室(中之島・京都・川西・くずは)の最新情報をお届けします!

●茂木健一郎さん、穂村弘さん「コトバの可能性と不可能性」 講演レポ 【川西】

2012年03月29日 12時43分32秒 | 川西教室
桜の季節まであともう少し いまだ肌寒い日が続いていますが、
3月11日(日)に川西でおこなわれた<熱気あふれる対談>のリポートをお届けします



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歌人の穂村弘さんの「コトバ」シリーズ、今回は、脳科学者の茂木健一郎さんをお迎えしました。
昨年は作家の川上未映子さんをお迎えしましたが、「いつも楽しみにしています」のお声もいただきました。
穂村さんのエッセイは、現実におこる出来事と、そこに微妙な違和感を覚える穂村さん自身との
距離感が絶妙で、読みながら「あ~、わかる!」と思わずつぶやいてしまうこともしばしば。
短歌の「読み」や書評はとても鋭く、ユニークな着眼点にはいつもうならされます。



茂木さんの活動もまた、とても多彩でユニークです。
「クオリア(質感)」をキーワードに、心と脳の関係を研究されていますが、
ツイッターやブログでの率直な発言は、時に物議を醸すことも。
年に1度アメリカで開催されるTED(学術、エンターテイメント、
デザインなど様々なジャンルについて世界のプロが語る講演会)で、
今年2月に日本人として初のスピーチをされたばかりです。



いま、「表現」の最先端にいらっしゃるといっても過言ではないおふたりですが、
アンケートでは「このふたりの組み合わせから何が生まれて展開していくのか、とても興味をそそられた」
という声をたくさん頂きました。

今回の対談のキーワードは、コトバ、表現。同い年のふたりがたどってこられた時代背景も交えながら、
それぞれのコトバや表現が語られました。

「コトバを健康的に使っているひとは、コトバに悩む必要がない。
いろいろなことが気になり、時には病的なほど執着することは、表現者には必要な資質。
だから穂村さんは優れていて魅力的」
と茂木さんが語れば、
「茂木さんは、熱くてやわらかくて透明。炸裂の出力を自分で調整できるのがすごい」 と穂村さんが返します。



「科学者としての道を選んでから、科学的な言葉を使うようになってしまった」
「目的のためなら<○○できる>のが、表現者の業。表現はあやういところで成り立っている」
「マイノリティーにこそ価値がある」
等々。

「対談といっても、相手への礼儀、サービスだけで終わってしまうひともいるけれど、
穂村さんとは魂の語り合いができている」
と茂木さんがおっしゃったように、
本音満載のトークが展開されました。

この日は、東日本大震災からちょうど1年の3月11日。
対談途中の14時46分に茂木さんのiPhoneが鳴り(犬の鳴き声でした)、
「1年経ちましたね…」と、穂村さんが、震災を詠んだ短歌を何首か紹介され、静かな時間が流れました。
「いま、この瞬間に、ここにこれだけのひとがいる偶然と必然。それはとても大事なこと」
というコトバがしみこみました…。



次々と話題を変えていく茂木さんと、じっくり言葉を選びながら語る穂村さん。
好対照のおふたりに、
「穂村さんのゆったり感と、茂木さんのパワフル早口のバランスから醸し出される
コトバが大変おもしろかった」
「ナマならではのライブ感に、まだ興奮が冷めない」
「素晴らしい音楽を聴いた帰り道のような、そういう時にしか味わったことのない感覚になった」
等の感想をいただきました。

また、「昨年3月11日、東京で茂木さんの講義を受ける予定が、あの震災で中止になってしまった。
1年後の3月11日にやっと参加できて、たまたまだけれど、大好きな穂村さんとの対談で、
もう、夢のようだった。おふたりのくだけたトークの中に本質がたくさんつまっていた。
またこんな機会を作ってください」
という印象的なお声もいただきました。
関西圏以外にも、北海道、青森、茨城、東京、愛媛、山口など遠方からも多数ご参加いただきました。
ありがとうございました!



対談終了後、サイン会をおこないましたが、おひとりおひとりと丁寧に言葉を交わしながら、
穂村さんは短歌を、茂木さんはイラストを添えてのサインで、皆さんとてもシアワセそうな表情でした。

ご受講いただいた皆さま、お忙しい中、東京からお越しいただいた穂村弘さん、茂木健一郎さん、
素敵な印象深い時間をどうもありがとうございました。
またお目にかかる機会を楽しみにしています。
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