アウトドローモ・インテルナツィオナーレ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ、通称イモラ・サーキットにて1日(日)、シーズン第13戦エミリア・ロマーニャGP決勝レースが行われ、メルセデスのハミルトンとボッタスが1-2フィニッシュを果たし、メルセデスがコンストラクターズ選手権優勝を達成した。メルセデスの戴冠はこれで7年連続となる。
2日間のグランプリフォーマットが採用されたイモラの週末は1回のフリー走行で予選とレースの準備を整える必要があり、どのチームも大いなるチャレンジに直面したが、予選ではメルセデスが変わらぬ速さを見せつけてボッタスとハミルトンがポール争いを展開し、最終的にボッタスがトップタイムを記録。ハミルトンが2番手に続いてメルセデスがフロントローを独占した。3番手にはレッドブルのフェルスタッペンが入り、Q2をミディアムタイヤで切り抜けた3台が上位グリッドからスターとしている。
全長4.909kmを誇るイモラ・サーキットの決勝レースは63周で争われ、初日に比べれば雲が多いものの、気温17.6℃、路面温度24℃、湿度72.6%のドライコンディションで始まったレースはボッタスが好発進を決めた一方で、ハミルトンはやや蹴り出しが遅れてフェルスタッペンが2番手に上がる。ルノーのリカルドも4番グリッドに並んだガスリー(アルファ・タウリ)をかわしてポジションアップに成功している。
後続勢ではレーシング・ポイントのストロールがルノーのオコンに近づきすぎてしまい、フロントウイングに若干のダメージを抱えたようでバランスを崩すシーンが見られた。ストロールは緊急ピットインでノーズを交換しており、スピンを喫して大きく後退したマグヌッセン(ハースF1)の16秒後方の最後尾で隊列に復帰している。マグヌッセンはフェラーリのベッテルと交錯する場面があったようで、この一件はスチュワードが審議したが、レーシングインシデントとの判断からおとがめなしの裁定となった。
オーバーテイクが難しいと言われるイモラで最初の5周を終えてリーダーはボッタスで変わらず、フェルスタッペン、ハミルトン、リカルド、ガスリーが5番手につけていた。6番手にはスタートでアルボン(レッドブル)を追い抜いたルクレール(フェラーリ)、アルボンを挟んでアルファ・タウリのクビアトが続き、マクラーレン勢がその後ろを走っている。
フェルスタッペンを追いかけるハミルトンはファステストラップを刻むなど必死にプッシュするも、「ついていくのが難しすぎる」と訴えたように他のサーキットに比べると速いメルセデスマシンでも追い抜きを仕掛けるのは容易ではない。
好位置をキープしていたガスリーに悪報がもたらされたのは8周目。ピットウオールから「ボックスだ。リタイアしなければならない」と連絡を受けたガスリーはガレージにマシンを入れてコックピットを降りた。アルファ・タウリによると、水圧が落ちていたとのことだが、スタート前のグリッドではトラブルの修復作業を急ぐメカニックの姿があり、完全には問題を解消できていなかったのかもしれない。
下位グループの数台がタイヤ交換に向かってほどなく、上位勢では14周目にフェラーリがルクレールをピットに呼び入れたのをきっかけに、マクラーレンはノリスを、ルノーはオコンをピットインさせてタイヤ交換の上で再びコースへと送り出し、次のラップではリカルド、アルボン、クビアトの3人がソフトからハードタイヤに履き替えている。どうやらタイヤのデグラデーションが予想よりも激しかったようだ。レッドブルはアルボンをなんとかルクレールの前で戻したかったところだが、先行したのはルクレール。第2スティントにはハードを選ぶドライバーが多い中、マクラーレンとノリスはミディアムタイヤをチョイスしている。
チームメイトに遅れること3周、サインツも最初のピットストップを完了し、アルボンと並ぶ形でピットロードを抜けたが、前には出られず、逆にクビアトに先行を許してしまった。
レッドブルがフェルスタッペンをピットインさせたのを受けて、メルセデスはボッタスのタイヤ交換を完了させる。2人のオーダーは変わらなかったものの、ボッタスとフェルスタッペンのギャップはピットストップ前の2.3秒から1秒強に縮まった。迅速なピット作業で知られるレッドブルのクルーがまたしても見事なピットストップを披露し、2.2秒でフェルスタッペンを送り出したおかげと言えよう。
一方、「止めてくれるな!」と無線で叫んだハミルトンはステイアウトを選択し、クリーンエアを得た状態でファステストラップを連発しながらマージンを稼ごうと猛プッシュ。第1スティントを長く走る道を取ったハミルトンはバックマーカーとの距離が縮まってトラフィックが目前に迫っていたほか、ボッタスやフェルスタッペンのハードタイヤが機能し始めていたものの、ペースの良かったミディアムタイヤでの走行にこだわり続けた。
その間、激しい攻防戦を繰り広げたのがハースF1のマグヌッセンを追いかけていたルクレール、アルボン、クビアトだ。新品のミディアムタイヤでレースをスタートしたマグヌッセンは第1スティントを継続しており、後続の3人よりもタイヤの周回数が多かったものの、ルクレールの攻撃を抑えるべくディフェンスに集中。それでも、サイド・バイ・サイドに持ち込まれると、ルクレールが優位となり、オーバーテイクされた後にはアルボンからも攻撃を受け、真後ろに控えたクビアトもプレッシャーをかけていった。結局、マグヌッセンは28周目の終わりにピットに飛び込み、アルボンとクビアトは再びルクレールとの勝負に切り替えている。
ハミルトンにピットインの絶好のチャンスが訪れたのは30周目。オコンがマシントラブルでコース脇に停車したことから、バーチャルセーフティカーが発令され、タイミング良くピットレーンの入り口手前に達していたハミルトンはすぐさまピットインに切り替えてタイヤ交換を済ませた。ハミルトンがピットロードを抜ける頃にはバーチャルセーフティカーが解除され、減速走行を強いられていたボッタスとフェルスタッペンは成すすべなく、2番手と3番手に甘んじるしかなかった。
ただ、ペースが上がらず苦戦している様子のボッタスに対し、フェルスタッペンがDRS圏内にピタリとつけてプレッシャーをかけていく。メルセデスの無線メッセージによれば、ボッタスは2周目からマシンにダメージを抱えているようで、フロアのダメージは相当にひどいとのこと。メルセデスはターン7のデブリを拾ったのではないかと推測しており、オープニングラップでオコンとストロールがぶつかった際に散らばったデブリが原因と考えられた。
レースが折り返し地点を過ぎてなお、ピットに入っていなかったベッテルとライコネン(アルファロメオ・レーシング)は4番手と5番手の位置でレースを続けていたものの、6番手につけるペレスが2人よりも速いペースで接近し、周回を重ねるごとにギャップが縮まっていく。ベッテルはハミルトンが41周目に入る手前で、最初で最後のピットストップに向かうが、右フロントタイヤの交換に手間取り、戻った位置は目標にしていた場所から程遠い14番手だ。ピット作業に13秒以上を要しており、うまくいっていれば10番手にいたサインツと後方のノリスの間で隊列復帰できていた可能性がある。
ダメージを抱えたマシンのペースに苦しむボッタスは43周目に下り坂のリバッツァのターンインでワイドにふくらんでしまい、フェルスタッペンに接近を許すと、最終コーナーでトラクションを得たフェルスタッペンにメインストレートでオーバーテイクされた。前が開けたフェルスタッペンは一気に加速してボッタスを引き離しにかかると同時に、ハミルトンとのギャップを縮めにかかる。
46周目に自己ベストを刻み、さらに次の周回でも若干ながらタイムを削っていたライコネンがようやくピットに向かったのはレースが残り15周を切ってから。新品のソフトタイヤに履き替え、12番手の位置でコースに戻った。同じタイミングでマグヌッセンもピットインしていたが、こちらはピットアウトできずにマシンをガレージに入れて戦線を離脱している。
各車がチェッカーフラッグに向けて集中力を高めていたところ、2番手を走っていたフェルスタッペンがパンクチャーに見舞われる。走行中に突如、右リアタイヤがバーストし、マシンのコントロールを失ったフェルスタッペンは進行方向と逆向きになりながらグラベルに乗り上げてストップ。コックピットを離れた後、悔しそうにパンクしたタイヤに怒りをぶつけていた。
フェルスタッペンのインシデントを受けて黄旗が振られた後、セーフティカーが出動することになり、ボッタスとペレスがピットに入ってタイヤを交換。リカルドとルクレール、アルボンはステイアウトを選び、ラップリーダーのハミルトンは1周遅れてソフトタイヤに履き替えたがリードは確保したまま隊列に戻っている。
セーフティカーが先導する隊列の先頭には、周回遅れのラッセル(ウィリアムズ)がつけていたが、冷えたタイヤの影響か、突然コントロールを乱してサイドウオールに突進、クラッシュを喫して思わぬリタイアを喫した。「何と言っていいか分からない」とチームに伝えたラッセルは相当に悔しかったようで、自力でコックピットを離れた後、コース脇に座り込み、近寄るコースマーシャルにジェスチャーで「1人にしてくれ」と示し、しばし静かに時間を過ごした。
ウィリアムズマシンの撤去も加わったことで、セーフティカーピリオドは当初の予定よりも長くなり、ハミルトンとボッタスのメルセデス勢が1-2態勢を築く一方で、3番手にはリカルドが上がり、ルクレール、アルボン、ペレス、クビアト、サインツ、ノリス、ライコネンが10番手でポイント圏内につけていた。
57周目の終わりにセーフティカーが解除され、リスタートではトップ3が順調に加速していくも、ペレスにオーバーテイクを許したアルボンが追い抜かれた直後に単独スピンを喫して大きく後退。すぐ後ろにはサインツがいたものの、ギリギリのところで衝突を回避しており、後続のノリスら、ライバルたちもアルボンのレッドブルマシンをうまく避けてレースを続けている。アルボンとペレスがバトルを繰り広げている間に2台をかわしたクビアトがルクレールをも料理して4番手にジャンプアップし、5番手以下のオーダーはルクレール、ペレス、サインツ、ノリス、ライコネン、ジョビナッツィ(アルファロメオ・レーシング)が10番手に浮上した。
残り2周からファイナルラップにかけてクビアトが3番手のリカルドにオーバーテイクを仕掛けようと猛チャージをかけたものの、わずかにおよばずポジションが入れ替わることはなく、ハミルトンがトップチェッカーを受けたのに次いでボッタスとリカルドが表彰台を獲得。クビアトは4位でゴールし、他にルクレール、ペレス、サインツ、ノリス、ライコネン、ジョビナッツィがポイントを手に入れている。
11位だったラティフィに続いてグロージャン(ハースF1)がフィニッシュしたが、複数回にわたってコースリミットを超えたとして5秒のタイムペナルティが科せられており、ベッテルが12位、ストロールが13位となり、グロージャンは14位、終盤にスピンを喫したアルボンは最後尾まで後退して15位で完走を果たした。
ホンダPU勢、期待されたフェルスタッペンとガスリーがリタイアしてしまい残念な結果でしたが、アルファ・タウリのクビアトが4位入賞と頑張りました。次戦は2005年以来のカレンダー復帰を果たすイスタンブール・サーキットが舞台のシーズン第14戦トルコGPに期待しましょう。
2日間のグランプリフォーマットが採用されたイモラの週末は1回のフリー走行で予選とレースの準備を整える必要があり、どのチームも大いなるチャレンジに直面したが、予選ではメルセデスが変わらぬ速さを見せつけてボッタスとハミルトンがポール争いを展開し、最終的にボッタスがトップタイムを記録。ハミルトンが2番手に続いてメルセデスがフロントローを独占した。3番手にはレッドブルのフェルスタッペンが入り、Q2をミディアムタイヤで切り抜けた3台が上位グリッドからスターとしている。
全長4.909kmを誇るイモラ・サーキットの決勝レースは63周で争われ、初日に比べれば雲が多いものの、気温17.6℃、路面温度24℃、湿度72.6%のドライコンディションで始まったレースはボッタスが好発進を決めた一方で、ハミルトンはやや蹴り出しが遅れてフェルスタッペンが2番手に上がる。ルノーのリカルドも4番グリッドに並んだガスリー(アルファ・タウリ)をかわしてポジションアップに成功している。
後続勢ではレーシング・ポイントのストロールがルノーのオコンに近づきすぎてしまい、フロントウイングに若干のダメージを抱えたようでバランスを崩すシーンが見られた。ストロールは緊急ピットインでノーズを交換しており、スピンを喫して大きく後退したマグヌッセン(ハースF1)の16秒後方の最後尾で隊列に復帰している。マグヌッセンはフェラーリのベッテルと交錯する場面があったようで、この一件はスチュワードが審議したが、レーシングインシデントとの判断からおとがめなしの裁定となった。
オーバーテイクが難しいと言われるイモラで最初の5周を終えてリーダーはボッタスで変わらず、フェルスタッペン、ハミルトン、リカルド、ガスリーが5番手につけていた。6番手にはスタートでアルボン(レッドブル)を追い抜いたルクレール(フェラーリ)、アルボンを挟んでアルファ・タウリのクビアトが続き、マクラーレン勢がその後ろを走っている。
フェルスタッペンを追いかけるハミルトンはファステストラップを刻むなど必死にプッシュするも、「ついていくのが難しすぎる」と訴えたように他のサーキットに比べると速いメルセデスマシンでも追い抜きを仕掛けるのは容易ではない。
好位置をキープしていたガスリーに悪報がもたらされたのは8周目。ピットウオールから「ボックスだ。リタイアしなければならない」と連絡を受けたガスリーはガレージにマシンを入れてコックピットを降りた。アルファ・タウリによると、水圧が落ちていたとのことだが、スタート前のグリッドではトラブルの修復作業を急ぐメカニックの姿があり、完全には問題を解消できていなかったのかもしれない。
下位グループの数台がタイヤ交換に向かってほどなく、上位勢では14周目にフェラーリがルクレールをピットに呼び入れたのをきっかけに、マクラーレンはノリスを、ルノーはオコンをピットインさせてタイヤ交換の上で再びコースへと送り出し、次のラップではリカルド、アルボン、クビアトの3人がソフトからハードタイヤに履き替えている。どうやらタイヤのデグラデーションが予想よりも激しかったようだ。レッドブルはアルボンをなんとかルクレールの前で戻したかったところだが、先行したのはルクレール。第2スティントにはハードを選ぶドライバーが多い中、マクラーレンとノリスはミディアムタイヤをチョイスしている。
チームメイトに遅れること3周、サインツも最初のピットストップを完了し、アルボンと並ぶ形でピットロードを抜けたが、前には出られず、逆にクビアトに先行を許してしまった。
レッドブルがフェルスタッペンをピットインさせたのを受けて、メルセデスはボッタスのタイヤ交換を完了させる。2人のオーダーは変わらなかったものの、ボッタスとフェルスタッペンのギャップはピットストップ前の2.3秒から1秒強に縮まった。迅速なピット作業で知られるレッドブルのクルーがまたしても見事なピットストップを披露し、2.2秒でフェルスタッペンを送り出したおかげと言えよう。
一方、「止めてくれるな!」と無線で叫んだハミルトンはステイアウトを選択し、クリーンエアを得た状態でファステストラップを連発しながらマージンを稼ごうと猛プッシュ。第1スティントを長く走る道を取ったハミルトンはバックマーカーとの距離が縮まってトラフィックが目前に迫っていたほか、ボッタスやフェルスタッペンのハードタイヤが機能し始めていたものの、ペースの良かったミディアムタイヤでの走行にこだわり続けた。
その間、激しい攻防戦を繰り広げたのがハースF1のマグヌッセンを追いかけていたルクレール、アルボン、クビアトだ。新品のミディアムタイヤでレースをスタートしたマグヌッセンは第1スティントを継続しており、後続の3人よりもタイヤの周回数が多かったものの、ルクレールの攻撃を抑えるべくディフェンスに集中。それでも、サイド・バイ・サイドに持ち込まれると、ルクレールが優位となり、オーバーテイクされた後にはアルボンからも攻撃を受け、真後ろに控えたクビアトもプレッシャーをかけていった。結局、マグヌッセンは28周目の終わりにピットに飛び込み、アルボンとクビアトは再びルクレールとの勝負に切り替えている。
ハミルトンにピットインの絶好のチャンスが訪れたのは30周目。オコンがマシントラブルでコース脇に停車したことから、バーチャルセーフティカーが発令され、タイミング良くピットレーンの入り口手前に達していたハミルトンはすぐさまピットインに切り替えてタイヤ交換を済ませた。ハミルトンがピットロードを抜ける頃にはバーチャルセーフティカーが解除され、減速走行を強いられていたボッタスとフェルスタッペンは成すすべなく、2番手と3番手に甘んじるしかなかった。
ただ、ペースが上がらず苦戦している様子のボッタスに対し、フェルスタッペンがDRS圏内にピタリとつけてプレッシャーをかけていく。メルセデスの無線メッセージによれば、ボッタスは2周目からマシンにダメージを抱えているようで、フロアのダメージは相当にひどいとのこと。メルセデスはターン7のデブリを拾ったのではないかと推測しており、オープニングラップでオコンとストロールがぶつかった際に散らばったデブリが原因と考えられた。
レースが折り返し地点を過ぎてなお、ピットに入っていなかったベッテルとライコネン(アルファロメオ・レーシング)は4番手と5番手の位置でレースを続けていたものの、6番手につけるペレスが2人よりも速いペースで接近し、周回を重ねるごとにギャップが縮まっていく。ベッテルはハミルトンが41周目に入る手前で、最初で最後のピットストップに向かうが、右フロントタイヤの交換に手間取り、戻った位置は目標にしていた場所から程遠い14番手だ。ピット作業に13秒以上を要しており、うまくいっていれば10番手にいたサインツと後方のノリスの間で隊列復帰できていた可能性がある。
ダメージを抱えたマシンのペースに苦しむボッタスは43周目に下り坂のリバッツァのターンインでワイドにふくらんでしまい、フェルスタッペンに接近を許すと、最終コーナーでトラクションを得たフェルスタッペンにメインストレートでオーバーテイクされた。前が開けたフェルスタッペンは一気に加速してボッタスを引き離しにかかると同時に、ハミルトンとのギャップを縮めにかかる。
46周目に自己ベストを刻み、さらに次の周回でも若干ながらタイムを削っていたライコネンがようやくピットに向かったのはレースが残り15周を切ってから。新品のソフトタイヤに履き替え、12番手の位置でコースに戻った。同じタイミングでマグヌッセンもピットインしていたが、こちらはピットアウトできずにマシンをガレージに入れて戦線を離脱している。
各車がチェッカーフラッグに向けて集中力を高めていたところ、2番手を走っていたフェルスタッペンがパンクチャーに見舞われる。走行中に突如、右リアタイヤがバーストし、マシンのコントロールを失ったフェルスタッペンは進行方向と逆向きになりながらグラベルに乗り上げてストップ。コックピットを離れた後、悔しそうにパンクしたタイヤに怒りをぶつけていた。
フェルスタッペンのインシデントを受けて黄旗が振られた後、セーフティカーが出動することになり、ボッタスとペレスがピットに入ってタイヤを交換。リカルドとルクレール、アルボンはステイアウトを選び、ラップリーダーのハミルトンは1周遅れてソフトタイヤに履き替えたがリードは確保したまま隊列に戻っている。
セーフティカーが先導する隊列の先頭には、周回遅れのラッセル(ウィリアムズ)がつけていたが、冷えたタイヤの影響か、突然コントロールを乱してサイドウオールに突進、クラッシュを喫して思わぬリタイアを喫した。「何と言っていいか分からない」とチームに伝えたラッセルは相当に悔しかったようで、自力でコックピットを離れた後、コース脇に座り込み、近寄るコースマーシャルにジェスチャーで「1人にしてくれ」と示し、しばし静かに時間を過ごした。
ウィリアムズマシンの撤去も加わったことで、セーフティカーピリオドは当初の予定よりも長くなり、ハミルトンとボッタスのメルセデス勢が1-2態勢を築く一方で、3番手にはリカルドが上がり、ルクレール、アルボン、ペレス、クビアト、サインツ、ノリス、ライコネンが10番手でポイント圏内につけていた。
57周目の終わりにセーフティカーが解除され、リスタートではトップ3が順調に加速していくも、ペレスにオーバーテイクを許したアルボンが追い抜かれた直後に単独スピンを喫して大きく後退。すぐ後ろにはサインツがいたものの、ギリギリのところで衝突を回避しており、後続のノリスら、ライバルたちもアルボンのレッドブルマシンをうまく避けてレースを続けている。アルボンとペレスがバトルを繰り広げている間に2台をかわしたクビアトがルクレールをも料理して4番手にジャンプアップし、5番手以下のオーダーはルクレール、ペレス、サインツ、ノリス、ライコネン、ジョビナッツィ(アルファロメオ・レーシング)が10番手に浮上した。
残り2周からファイナルラップにかけてクビアトが3番手のリカルドにオーバーテイクを仕掛けようと猛チャージをかけたものの、わずかにおよばずポジションが入れ替わることはなく、ハミルトンがトップチェッカーを受けたのに次いでボッタスとリカルドが表彰台を獲得。クビアトは4位でゴールし、他にルクレール、ペレス、サインツ、ノリス、ライコネン、ジョビナッツィがポイントを手に入れている。
11位だったラティフィに続いてグロージャン(ハースF1)がフィニッシュしたが、複数回にわたってコースリミットを超えたとして5秒のタイムペナルティが科せられており、ベッテルが12位、ストロールが13位となり、グロージャンは14位、終盤にスピンを喫したアルボンは最後尾まで後退して15位で完走を果たした。
ホンダPU勢、期待されたフェルスタッペンとガスリーがリタイアしてしまい残念な結果でしたが、アルファ・タウリのクビアトが4位入賞と頑張りました。次戦は2005年以来のカレンダー復帰を果たすイスタンブール・サーキットが舞台のシーズン第14戦トルコGPに期待しましょう。