ヘーゲル『哲学入門』中級 第一篇 序論 第二節[哲学における知識]
§2
In der Philosophie werden die Bestimmungen des Wissens (※1)nicht einseitig nur als Bestimmungen der Dinge(※2) betrachtet, sondern zugleich mit dem Wissen, welchem sie wenigstens gemeinschaftlich mit den Dingen zukommen; oder sie werden genommen nicht bloß als objektive, sondern auch als subjektive Bestimmungen, oder vielmehr als bestimmte Arten der Beziehung des Objekts und Subjekts auf einander.
第二節[哲学における知識]
哲学においては、知識の規定は物の規定としてただ一面的にのみ見なされるのではなく、むしろ同時に、知識の規定とは、少なくとも物と共同してもたらされるところの知識と見なされる。あるいは、知識の規定は、たんに客観的に だけではなくまた主観的な 規定として、あるいは、むしろ客観と主観との相互の関係によって規定された性質のものと見なされる。
※1
die Bestimmungen des Wissens
知識の規定
自我、すなわち「私」が目の前に、対象にある物を見て、たとえば「これは桜の花である」とか、「彼は野球選手である」とか規定することであるが、そのように規定するのは、 「私」があってこそであり、「私」の、主観なくしてそのような知識の規定もありえない。とくに哲学における知識の規定は、「私」と対象との関係において規定される。
※2
Bestimmungen der Dinge
物の規定
「私」が「私」を意識することなく、つまり主観的な反省なくして、対象としての物について直接的に感覚的に、「これは桜の花である」とか「彼は野球選手だ」とか規定するような「ふつうの意識」、常識的な段階での知識はたんなる「物の規定」である。
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