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江戸時代の絵図にも描かれ、「本願寺水道」の面影を伝える東本願寺(真宗大谷派本山、京都市下京区)の堀の水をきれいにしようと、「水の国」オランダ出身の男性が奮闘している。独自に開発した浄水装置を取り付けたところ水面を覆う藻がきれいになり、悪臭もなくなった。東本願寺は「門前は緑地になることも決まっているので、きれいになれば多くの市民に喜ばれる」と効果を歓迎する。
ポール・ペッピンさん(55)=左京区。20歳で来日し、オランダ人の友人とともに浄水装置の開発や販売に携わる。出身国のオランダは海面より低い土地が国土の4分の1を占めることから治水や水資源の利用に苦心してきた歴史があり、現在も雨水を浄化して野菜の栽培に使うなど水資源や水質管理に厳しい。ペッピンさんも水には関心が高く、東本願寺の前を通るたびに堀の水面に藻が張った様子や臭いが気になっていた。
同寺の三方を囲む堀は江戸初期の絵図にも描かれた。明治期後半には防火目的で琵琶湖疏水から独自に本願寺水道を引いていたが、2013年に水道を閉じ、現在は井戸水を利用している。夏場の悪臭や藻への対応など水質浄化は近年の懸案で、水草を食べるソウギョを入れるなど試行錯誤を続けてきたが成果が出ず、困っていたという。
ペッピンさんの浄水装置は微細な泡状にした酸素を水中に送り込み、藻などを食べる細菌類を活性化させることで水質を浄化する。東本願寺財産管理室によると、今年4月から使い始めたところ、藻がなくなるなどの効果が見られたという。半年間の試用期間を経て正式な導入を決めた。
ペッピンさんは「堀端で仕事をしていると『昔ここで泳いだ』と話すおばあさんにも出会った。また泳げるようなきれいな水をつくりたい」と話している。
京都新聞