地獄蒸しした卵を使ったサンドイッチ
マヨネーズなどであえた卵を柔らかい食パンで挟んだ卵サンド。卵が主役のシンプルなサンドイッチは海外では珍しいといい、外国人観光客の間でブームとなっている。各地の個性豊かな卵サンドを紹介する。
休日は午前中に売り切れ
大分県別府市の 明礬みょうばん 温泉。白い蒸気が立ち上り、硫黄のにおいが漂う中、老舗温泉旅館「岡本屋」の売店では、看板商品の「元祖地獄蒸しプリン」とともに、「地獄蒸したまごサンドイッチ」(756円)が観光客の人気を集めていた。
地獄蒸しは、温泉の蒸気を利用して食材を蒸す調理法。卵は殻がつるんとむける状態になるまで、100度前後の蒸気で15~30分蒸すことでうま味が増す。蒸した後、細かくつぶしてマヨネーズや塩こしょう、砂糖であえる。
卵と一緒にパンに挟むのは大きめのキュウリ。あふれんばかりのボリュームたっぷりの卵が食欲をそそる。かぶりつくと、濃厚な黄身の味とほどよい塩気が口の中に広がった。休日は100個作るが、午前中に売り切れるという。
ファンの一人で、料理家のarikoさんは「硫黄のにおいがふっと漂い、卵の塩気とアクセントのキュウリが癖になる。土産物にしても喜ばれる」と話す。
コロナ禍が収束し、インバウンド(訪日外国人客)が回復傾向にあることも追い風となっている。別府港に寄港する海外クルーズ客や、大分空港と直行便で結ばれる韓国からの観光客が、SNSなどで手軽な朝食として紹介し、知名度が上がった。
売店主任の岩瀬裕子さん(56)は「卵サンドを通じて、海外の人たちが別府の地獄蒸しの食文化や温泉に興味を持ち、訪れるきっかけになればうれしい」と期待する。