セキュリティグッズのひとつである錠前には、実用品の域を超えそうな見事なデザインのものがあります。
なかには、実用価値よりも使う人との知恵比べのようなものもあります。
ある一定の数字にダイヤルを合わせると開く錠前が、一つ間違えると途端にその数字に合わせても開かなくなるという、厄介なものもできています。
ダイヤルとユーザーのあたまの回転競争です。
錠前づくりには、ふたとおりの主目的がありそうです。
ひとつは売るため、もう一つは作る楽しみです。
作る楽しみは、またふたとおり、形と動きとに、そして形と動きもまた、堅固さと面白さに枝分かれします。
その楽しみを味わうのは、メーカーだけでなく、ユーザーもそうです。
錠前をはずし、あけてしまうのも、その瞬間はユーザーとしての行為であって、ユーザーにもまた錠をかける人とはずす人の対極ができます。
パソコンのセキュリティソフトにも、その相手のマルウエアにも、相身互いのような妙な関係が成り立っているような気がします。
「脆弱性緩和ツール Enhanced Mitigation Experience Toolkit (EMET)を利用した方がよいかどうか、皆様はどうお考えでしょうか?」という問いかけがHさんのFBから出されました。
⇒ http://jump.cx/emet
EMET は、システムやアプリケーションに対して、攻撃を緩和する機能を有効にすることで、脆弱性の悪用を防ぐためのツールであるという説明を見ても、どういうものか見当をつけにくい難物です。
こういうものの効果は、サプリメントの効き目に似ています。
使う人一人ひとりは、効いていると信じれば効いていそうな気がする、同じものをたくさんの人に使ってもらって、一定期間の間に、効いたらしいからしくないかを集計してみないと何とも言えないでしょう。
ただし、実験結果を見ずに想像できることが一つあります。
セキュリティソフトの類は、マルウエアとこだまのように響き合って、パソコン本来のはたらきに必要なものの何倍何十倍もの性能を要求し、作って売らせて買わせて、情報産業の発展に寄与しているということです。
情報がありがたいものと、どの程度思うか、どの程度利用させてもらうかによって、こういう問いかけへの答えは用意されるのではないかと思います。