花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

恩人との再会

2021年06月19日 | 研究
水が真っ白く濁っています。白いものは薬品ではなく微細な泡。
一般的にマイクロバブルといいますが、
この装置は優れもので、もっと小さいナノバブルを発生させています。
今からちょうど10年ほど前に起こった東日本大震災。
海岸沿いの地域が津波に飲まれ、塩害を引き起こし大問題となりました。
それをなんとかしようと立ち上がったのが2代目チームフローラフォトニクス。
女子たちが当時、水耕栽培の実験をしようと九州のメーカーから
借用していたマイクロバブル発生装置を急遽除塩対策として実験開始。
なんと水よりも効率よく塩分を洗い流せることを発見した彼女らは
この装置と発電機をトラックに積んで被災地に赴き除塩活動を展開。
その活動は大きな話題を呼び、全国はもちろん世界に報道されました。
活動終了後、装置はメーカーに返却されましたが
その数年後、環境システム科が新設された際にあらためて導入してもらいました。
あれから何年経ったでしょう。久しぶりにフローラハンターズで使おうと思ったら
現在、園芸科学科の草花班が植物の発根促進のための実験に使っていました。
宝の持ち腐れになっていないこと、そしてフローラの後輩たちである
草花班が使っていることに感動です。環境班が使うのはこの水1Lぐらい。
そこで実験直前に分けてもらうことにしました。
この白い水、装置を止めるとすぐに気泡は消え透明になります。
しかしそれは大きな泡が消えたから。目に見えないナノバブルは
驚くことに数日間も水の中に残っているといいますから驚きです。
フローラを環境研究に目覚めさせた恩人に久しぶりに再開できました。
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ネクターガイド

2021年06月19日 | 学校
ピンクのツツジの花が鮮やかです。
さてこの花、中心部の色が周辺より濃くなっています。
これをネクターガイド、日本語では蜜標といって
花が昆虫たちに蜜のありかを示すサインだといわれています。
しかし昆虫は私たちが見ている可視光線よりも短い波長、
つまり紫外線をメインとして見ています。
じゃあいったいどのように見えるのでしょう。
かつて紫外線だけ透過するフィルターを使って
花のネクターガイドのビデオを生徒たちと撮影していた時があります。
すると色の違いはもっと歴然。さらにフィルターをつけると
花弁に描かれた私たちには見えていないサインが暗い画面の中から
まるで星のように現れてきて、それはそれは感動したものです。
生徒たちが数分にまとめた作品「花たちの宇宙」はNHKで放映された他、
国際大会「東京ビデオフェスティバル」で入賞し
海外の方達に囲まれながら受賞した思い出があります。
大林監督、椎名誠さんなどたくさんの著名人とも歓談でき、
生徒ともども感激したものです。そんなことで花を見るとついつい
最初にネクターガイドに目がいってしまいます。
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巨大なビニール傘

2021年06月19日 | 学校
このビニールハウス、なんだか変だです。
なぜならビニールがかかっているのは上だけ。
横はガラ空きです。それも中で育っているのは野菜ではなく果樹。
もちろん皆さんご存知、南部町名物の桜桃、つまりサクランボです。
屋根だけビニールで覆っているのは雨除けが理由。
サクランボの収穫と梅雨は同じ時期です。
雨を吸うとせっかく実ったサクランボがパンパンになり
割れてしまい商品価値がなくなってしまいます。
そのため少々お金がかかっても巨大なビニール傘で
農家の皆さんは果実を守っているのです。
南部町に来るとこのように高さ5mという
背の高いビニールハウスをたくさん見つけることができます。
今年の作況はニュースによると春先の低温の影響で実の数はやや少なめ。
それも園地の場所によってずいぶん差があるそうです。
理由はサクランボ畑の多くは山間にあるから。
そういえば昔、名農気象班がこの地域のどのあたりに
冷気が溜まるのかを調査して公表。この地域だけにターゲットを絞った
局地的な気象観測は農家はもちろん、役場や地域の試験場などが行う
農業指導にも大いに役立っていました。
今日は青森が生んだ文豪である太宰治の命日「桜桃忌」です。
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