なちゅらる Hi !

かっぱの心をうるおす、山・川・岩・海などの小さな自然。主に北海道の話。

芦別岳1726m② 本峰西壁

2022-08-06 | 
数年前から具体的なイメージを抱いていた芦別岳本峰西壁。
大先輩のS田さんが付き合ってくれたので、本谷を遡行しPeak北側のコルで幸せな一夜を送る。
その翌日。

8月5日(金)
明るくなり始めた時は、ガスの中。不安がよぎるがあきらめたくない。
なので、一度撤収して芦別Peakに荷物を置いておく作戦にする。
作戦がはまり、荷物を整理する頃には晴れた。
そして、もちろんこれが期待の3、本峰西壁登攀へ向かう。

まずは、「ダイレクトルート」

1P目取付きでラインを眺め、その場で「北海道の山と谷」の解説文を読み解いて、登攀開始。
確かに3級でした。時々出てくる草付きにバイルがよく決まる。
1P目終了点は、ハーケンとRCCが、上と下に3個ずつ。
ここは安定した草地なので、安心感は高い。

2P目、5級。
「山谷」解説では、「バンドを左上して行き詰ると、頭上にピンが連打」とあるが、通常イメージする連打とはだいぶ違う。きっと、長い歴史の中で、どんどん抜けているに違いない。
結構立ったフェースだが、少し凹み気味でホールドは豊富。下を眺めるとこんな感じ。

最後はPeakすぐ横のでっぱり部分に出る。
ここは、しっかりしたボルトが打ってあるし、反対側には灌木も多いのでビレイは安心。
そして眺めがたまらない。

この登攀時、後ろでドローンを飛ばしている方がいた。後でPeakで話すことになるユーチューバー「Great北海道」さんだった。動画も見せていただき、写真もくれた。本当にありがとうございます。


この日、2回目の芦別Peakで「Great北海道」さんと、もうお一方の登山者としばし談笑。

2本目の「サイコロカンテ」へ向かう。

真ん中に見える、菱形が飛び出したような形が「サイコロ」。
1P目は、まあいいとして、問題は2P目。
登り始めてすぐ、ちょっとしたハング越え。
かぶった上に足を上げるのに一苦労。グラグラハーケンを叩き直して、なんとか上がる。
で、ここからサイコロの下バンドまでが、残置は乏しく、ホールドも細かい。
バンドに手が届くところで、絶対止まらないだろう極小カムを決め、3回ほど行き戻りし、ようやくバンドの上に立つ。
このバンドをスタンスに2mほど横に動くが、これまたなんとも気持ち悪い。
「草付き交じりの凹角」に入ると、しっかりしたハーケンがあり、一安心。
そこからラインを振り返る。

垂壁でしょ。

「草付き交じりの凹角」が、またいやらしい。
左はスタンスがあるが、右は「サイコロ」面なので、顕著なスタンスはない。
結果的に、右キョンでごまかしながら、左足を上げていくことになる。
右手側にある「凹み=クラック」の奥は濡れているので、下手に触れない。
チムニー状に体を投げ出して、右キョンでじわじわ高さを上げ、凹角を越える。
あまりホッとしないが、とりあえず灌木ランニングをとって一安心。

以上2か所は「5級A0」となっていますが、それぞれが小樽赤岩「6級+」レベルです。
今回もハーケン1本抜けたので、A0部分に頼りになる物はないと考えた方がよいです。

そのまま頭上のハイマツ帯に這い上がると2P目終了。

この草地もホッとするけど、終了点らしきものはなし。
ハイマツ束ね取り支点で、フォロー用支点構築。
ハイマツに体半分うずめながら、フォローのビレイをしました。


そして、この日3回目の芦別岳Peak。

2人とも精魂疲れ果て、充実のクライミング。
大体同じような長さの2Pなれど、「ダイレクト」は約2時間、「サイコロカンテ」は、約2.5時間かかった。

疲れ果てた体で、仕方なく14時ごろ下山開始。
17時過ぎに太陽の里キャンプ場駐車場に到着。

天気に恵まれた充実の2日間!!

芦別岳1726m① 初の本谷沢登り 

2022-08-06 | 沢登り
ずっと憧れ、数年前から具体的なイメージを抱いていた芦別岳ピーク岩稜。
大先輩のS田さんが、付き合ってくれると言う。
そのS田さん、「暑いから本谷から行くのがいい」と言う。
という訳で、まずは本谷沢登編。

8月3日(水) 山部駅前「ときわ食堂」にて、天気祈願の祝杯。100年続く味に舌鼓。
8月4日(木) 曇り空、上空はガス。稜線は晴れの雲海に期待して出発。
5:45、登山口通過。

7:30、懐かしのユーフレ小屋。同じ景色に安心感。

今回の期待1は、「夏の本谷」。残雪を利用して登るのが一般的なので、沢として登ったことはない。
わくわくしていると、すぐにゴルジュ。

高巻き用にFixロープがある。昨年新品に取り換えられたらしく、ありがたい。
9:15、「インゼル」が見えてくる。

雪渓が始まる。硬い雪が歩きやすい。

10:20、Co920mの滝。
腰まで浸かって、水流内にホールドを求めれば、直登可能そうだが、寒いので濡れたくない。右岸草付き高巻きで突破。
12:30、Co1330m。
大きな岩が川を塞いでいるところで雪渓が切れる。
岩の右が水流。左は流れのないチョックストーン。

チムニーを楽しみながら突破。

雪渓の急斜面が続き、全荷の重さがこたえ始める。
でも、時々太陽がのぞきだして、期待をあおるとともに、幽玄な雰囲気をかもし出す。

西壁が見える頃には、すっかり晴れ渡り、翌日の登攀への期待が高まる。

でも、この頃にはヘロヘロかっぱ、50mに1回くらいへたり込み、呼吸を整える始末。
おかげで何度も振り返り、景色を眺めることができました。


15:00、稜線着。

翌日登る壁を眺めながら、雲海とお花に囲まれた幸せテン場。
このテン場が今回の期待2。
キンキンに冷えたビール(1Lと冷却雪渓荷揚げ済)で祝杯を挙げ、全世界に感謝。
ヘロヘロ満足の2日間。