元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「WXIII PATLABOR THE MOVIE 3」

2010-06-18 19:42:12 | 映画の感想(英数)

 2001年作品。人気シリーズ「機動警察パトレイバー」の映画版の第三作で、東京湾に現れた怪獣をめぐる闘いを描く。公開当時は押井守監督によるマニアックな短編「ミニパト」も同時上映された。

 パート2から9年ぶりに作られた本作では、パトレイバー隊の出番は前回よりさらに少ない。それだけに、この手の作品にありがちな“原作やテレビ版をチェックしていない観客はお呼びでない”というフザケた製作態度はなく、元ネタを知らない映画ファンでも抵抗なく一本の作品として楽しめるようになっていて、その点がまず評価できる。

 出来の方だが、かなりのハイレベル。間違いなく近年の国産アニメーション映画の収穫のひとつである。主人公を東京湾岸の怪事件を追うふたりの刑事に設定しているところがいい。そして彼等が初老のベテランと若手のコンビという、「砂の器」や「野良犬」以来の黄金パターンで、それぞれの内面や背景が丹念に描かれているのには感心した。

 キャラクターの土台(日常)をしっかり整えた上で、ドラマをそのまま非日常的な怪獣映画路線になだれ込ませるあたり、題材に対する作者の冷静なスタンスが感じられる。ことリアリズムへのこだわり方に限っては金子修介の「ガメラ」シリーズ以上であろう。

 脚本が実に緻密。キャラクターの配置や伏線の張り方、見せ場の振り分け方は、そこいらの実写映画よりは数段優れている。さらには大人のメロドラマやホームドラマ的要素も挿入され、それらが骨太の刑事ドラマと違和感なく並立しているあたりは舌を巻いた。作画が丁寧で音楽も音響も素晴らしい。今回は監督が押井守ではなく「ガンダム」シリーズにも参画した高山文彦が担当しているが、クォリティがまったく落ちないのが嬉しい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする