元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ディープ・ブルー」

2010-06-09 06:49:39 | 映画の感想(た行)
 (原題:Deep Blue)2003年作品。イギリス・ドイツ合作の海洋ドキュメンタリーである。監督と脚本はアラステア・フォザーギル。こういう映画にメッセージ性を求めても、せいぜい“自然を大事にしましょう”みたいな御題目しか出てこない。要は“どれだけ面白い映像を集めているか”である。その点においてこの作品は、どうも物足りない。

 シャチがアシカの子供を弄ぶ場面や、北極圏の凍った海面にわずかに空いた裂け目にイルカなどが殺到するシーンなどは確かに興味深かったが、それ以外の画面はテレビの“ネイチャー特番”あたりで何度も紹介されているようなものばかりである。デジカム撮影による薄汚い映像がたびたび挿入されているのも興醒めだ。

 しかも、リュック・ベッソン監督の「アトランティス」(91年)だのジャック・ペラン監督の「WATARIDORI」(2001年)だのといった上質の作品を過去に目にしている身にとっては、この程度のパフォーマンスでは、観ていて退屈なだけである。

 唯一の注目点はベルリン・フィルが初めて映画音楽を手掛けたことかもしれない。ただし、ジョージ・フェントンによる音楽そのものが低調だし、録音も良くない。あまり観る価値のない映画である。
コメント
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