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元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「解夏(げげ)」

2010-08-15 21:29:55 | 映画の感想(か行)
 2003年作品。失明に至る病を得た元教師と彼を支える婚約者との触れ合いを描く。さだまさしの同名小説を磯村一路が脚色して監督も担当。いわゆる“難病もの”の体裁を取って観客に広くアピールしたかったのだろうが、このいい加減な筋書きではそれも無理だろう。

 そもそも主人公の行動が理解不能。いつ目が見えなくなるか分からないのに、彼は生まれ育った街をウロウロしたり幼馴染みとの旧交を温めたりと、感傷に名を借りた無為の日々を送るばかり。病気が進む前に出来るだけ風景を目に焼き付けておきたい気持ちは理解できるが、失明後の身の振り方を考えるとか、その準備をするとか、もっと他にやるべきことがあるはずだ。

 もちろん“そんなことに考えが及ばないほど弱い男なのだ”という持って行き方もあるが、それならそれらしいキャラクター設定や伏線を用意しなければならないのに、全然行われていない。恋人との性的な含みが捨象されているのもインチキ臭く、出てくる登場人物が全員“いい人”であるのも参った。

 主演の大沢たかおと石田ゆり子の演技は特筆すべきものなし。舞台は原作者の出身地でもある長崎だが、あの街の魅力がほとんど出ていないことにも落胆した。観なくてもいい映画だ。
コメント
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