(英題:The Way Home)2002年作品。田舎の村に住む祖母と、そこに預けられた7歳の少年との日々の心の交流を描く。第39回大鐘賞(韓国アカデミー賞)受賞作だが、困ったことにあまり面白くない。
前作「美術館の隣の動物園」を観てもわかる通り、イ・ジョンヒャン監督はバリバリの“都会派”である。つまり映像のセンスや佇まいは良いが、対象に肉迫する気合いと力技には欠けているってことだ。それでも「美術館の~」では豪華キャストの存在感で鑑賞に耐えうるレベルには仕上がっていたが、この映画のようにリアリズムに徹するべき題材を扱うと、途端に馬脚を現す。
序盤の、田舎に慣れない孫のわがままを見せるくだりはまだいいとして、祖母と和解してゆく過程がまったくダメ。まるで頭の中で考えたような、薄っぺらなシークエンスと画面の連続。登場人物の内面にグッと鋭く入っていく覚悟も何もなく、ただそれらしい展開を“ハイ、図式的にやりました”という感じで漫然と並べて行くだけではとても共感を呼べたものじゃない。シャレた音楽も白々しく、失敗作と言うしかない。
また、祖母が口がきけないという設定は、扇情的な盛り上がりこそ期待できるものの、監督のパワー不足を補うため主演女優のキャラクター(素人を起用)にドラマを丸投げしてしまったような印象を受け、愉快になれない。田舎の佇まいには風情があるだけに、残念だ。
前作「美術館の隣の動物園」を観てもわかる通り、イ・ジョンヒャン監督はバリバリの“都会派”である。つまり映像のセンスや佇まいは良いが、対象に肉迫する気合いと力技には欠けているってことだ。それでも「美術館の~」では豪華キャストの存在感で鑑賞に耐えうるレベルには仕上がっていたが、この映画のようにリアリズムに徹するべき題材を扱うと、途端に馬脚を現す。
序盤の、田舎に慣れない孫のわがままを見せるくだりはまだいいとして、祖母と和解してゆく過程がまったくダメ。まるで頭の中で考えたような、薄っぺらなシークエンスと画面の連続。登場人物の内面にグッと鋭く入っていく覚悟も何もなく、ただそれらしい展開を“ハイ、図式的にやりました”という感じで漫然と並べて行くだけではとても共感を呼べたものじゃない。シャレた音楽も白々しく、失敗作と言うしかない。
また、祖母が口がきけないという設定は、扇情的な盛り上がりこそ期待できるものの、監督のパワー不足を補うため主演女優のキャラクター(素人を起用)にドラマを丸投げしてしまったような印象を受け、愉快になれない。田舎の佇まいには風情があるだけに、残念だ。



