元・副会長のCinema Days

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「アトラス」

2024-10-20 06:24:47 | 映画の感想(あ行)
 (原題:ATLAS )2024年5月よりNetflixから配信されたSFアドベンチャーアクション。観始めた時には、これはゲームあるいはコミックなどの元ネタがあって、その世界観をそのまま映像化しただけという、いわばお手軽な方法論で作られたシャシンかと思った。だが、実際はそうではない。それどころか映画ならではの工夫があり、鑑賞後の満足度はそれほど低くはないようだ。少なくとも、エンドマークが出るまで退屈せずに付き合える。

 AI(人工知能)が人間社会に完全に組み込まれるようになった遠い未来、突如卓越した思考力と意志を持つAIのハーラン・シェパードが人類に反旗を翻す。数百万人の犠牲者を出しながら何とかハーランを外宇宙に放逐した人類側だが、ハーランは復権を狙っていた。ハーランと家族同然に育った女性データアナリストのアトラス・シェパードは、ハーランの捕獲作戦に参加する。しかし、遠征軍は敵のアジトがある惑星の近くで早々に壊滅。九死に一生を得たアトラスは、高性能AI搭載のモビルスーツ“スミス”と共に、単身ハーランに立ち向かう。



 用意周到に任務に臨んだはずの遠征隊が戦う前から簡単に撃破されてしまうのは呆れるし、そもそもハーランはどう見てもアンドロイドで、AIの佇まいは希薄である。だからバトル主体のロボット活劇としての面ばかりが強調され、本来メインになるはずの頭脳戦が脇に追いやられているのは不満だ。

 しかしながら、アトラスと“スミス”との掛け合いは面白く、バディ・ムービーとしての興趣はよく出ている。アトラスが向こう見ずな突っ込み役ならば、“スミス”は高知能のボケ役だろう。この両者がやり合いながら次第に心理的な距離を詰めていく過程は、けっこう無理なく表現されている。題材が斯くの如しなので、当然映像のほとんどがCG。このエクステリアが肌に合わない視聴者もいるとは思うが、私は大して気にならなかった。

 アクション編の演出には定評のあるブラッド・ペイトンの仕事ぶりは堅実で、間延びすることなくスピーディーに話が進む。主演のジェニファー・ロペスは製作も担当しているだけあって、かなり頑張っている。そういえば彼女はすでに50歳代であるが、撮り方の上手さもあって年齢を感じさせない。また、ハーラン役のシム・リウは「シャン・チー テン・リングスの伝説」(2021年)の頃よりも垢抜けている(笑)。

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