元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「出逢い」

2015-09-14 06:26:33 | 映画の感想(た行)
 (原題:The Electric Horseman )79年作品。後にロバート・レッドフォードが監督・製作・主演した「モンタナの風に抱かれて」(98年)に通じる映画で、彼の筋金入りのエコロジストぶりと動物愛護の精神が横溢しているのが興味深い。また、本作自体も優れた出来だと思う。

 シェリー・バートンの小説を「グラン・ブルー」などのロバート・ガーランドらが脚色したものだ。かつてロデオの世界チャンピオンに5回も輝いたサニー・スチールは、今は現役を引退してCMタレントとしての日々を送っていた。生活に困らないだけの収入は得ていたが、企業の意向に左右されるだけで彼としては張り合いが無く、自己嫌悪に陥って酒に溺れることが多くなった。



 そんなある日、雇い主の大企業が購入したサラブレッドの名馬ライジング・スターにまたがってステージの上から愛想を振りまくという仕事が入る。ところがこの馬が麻薬漬けにされているのを見て怒りを覚えたサニーは、ライジング・スターに乗ったまま夜の町に消えてしまう。1200万ドルを投じて手に入れた馬が失踪したという事件は世間を騒がせるが、女性記者ハリーは独自の人脈を通じてサニーに接触することに成功。彼が馬を自然に返すためにこの行為に及んだことを聞き出し、そのニュースが公開されると世間はサニーに味方するようになる。だが、他のマスコミと警察の手は着々と2人に及びつつあった。

 サニーとハリーとの関係は“最初の互いの印象は最悪だったが、いつの間にか憎からず思うようになってくる”というスクリューボール・コメディのルーティンを踏襲していて微笑ましいし、シドニー・ポラックの演出はテンポ良く、中だるみもなく2人と警察などとの追跡劇をスムーズに展開させていく。意表を突いたラストの処理も納得出来た。

 ハリーを演じるのはジェーン・フォンダで、レッドフォードとのアヴァンチュールは当時としては大スターの共演であり、観ていて楽しい。サニーのマネージャーに扮するウィリー・ネルソンや、別居中の妻を演じるヴァレリー・ペリンも良い味を出している。

 原題の“エレクトリック・ホースマン”とは、主人公がに豆電球つきのカウボーイ衣裳を着てショーに出演していることから来ている。いくらウケ狙いのイベント用とはいえ、昔は世界を制した男がピエロを演じているのは侘しいものがあり、やはり一芸ばかりに秀でている者は“応用が利かない”ということであろう。なお、デーヴ・グルーシンの音楽は見事だ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「映画 みんな!エスパーだ... | トップ | 「ミッション:インポッシブ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画の感想(た行)」カテゴリの最新記事