猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

雨にゆれる女

2017-08-22 02:15:32 | 日記
2016年の日本映画「雨にゆれる女」。

則夫(青木崇高)は飯田健次という別人に成りすまし、勤務先の工場と自宅を往復
するだけの孤独な生活を送っていた。自分のことを何も話さず、極力人との関わ
りを避けようとする健次は職場では変人扱いされていた。ある日同僚の下田(岡山
天音)が家にやってきて、惚れた女が男から逃げたいと言うので匿って欲しいと頼
む。健次は断るが、最後には渋々引き受ける。工場に警察がやってきて、工場で
盗みを働いた下田が捕まったと伝えられる。理美というその若い女(大野いと)も
自分のことは話さず、正体は謎に包まれていた。ある夜、過呼吸を起こした理美
を健次が介抱し、2人の距離が縮まる。

心に秘密を抱えた孤独な男女の物語。タイトルにあるように、雨のシーンが印象
的である。則夫は10数年前ある犯罪を犯し、名前を変えてひっそりと暮らしてい
る。理美は犯罪ではないものの、自分の言動がある女性を不幸にしたことに罪悪
感を抱いている。2人とも罪悪感を持って生きてきたのだ。そしてこの2人は出会
うべきではなかった。愛し合ってはいけなかった。悲しい映画である。
下田によって健次の家に匿われた理美。しかし下田が逮捕され、2人は少しずつ
ではあるが打ち解けていく。やがて釈放された下田が理美を迎えにくるが、理美
と健次の親密な様子を見て激怒し、理美は下田を拒絶する。愛し合うようになっ
た2人だが、それぞれが胸に抱えている秘密と罪悪感は、あまりにも大きなもの
だった。そして真相がわかった時悲劇が起きる。
最初の方で、幼い姉弟が自動販売機の前でジュースを買おうかどうしようか迷っ
ているシーンがある。姉弟のやっぱりやめよう、という会話を聞いて、健次が小
銭を入れてやって「買え」と言うのだが、これは重要なシーンである。健次はそ
んな親切な男ではない。それなのに何故その姉弟のことを気にかけたのか。それ
は後にわかる健次の秘密につながっているのだ。
愚かだった過去の2人。だがそれは今更どうしようもないことだ。よく思うけれ
ど、日本のマイナーな映画ってどうしてこんなに暗いのだろう。暗くて、救いが
ない。「ケンとカズ」や「蟻が空を飛ぶ日」なんかも本当に暗かった。まあ、暗
い映画好きなんだけど。




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コメント (2)
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