月が異様なほど明るい夜。
外で鹿がやたらと鳴くので目が覚めてしまい、
時計を見たらまだ2時前なので、寝直そうとしていたら、
階下の猫ドアが、ぱこんぱこんと鳴った。
つづいて階段を駆け上がってくる足音。
「ハッハッハッハッ」という荒い息づかい。
えっ、誰? 犬?
あわてて起きた。
月明かりの中、飛びこんできたのは、真鈴だ。
窓際の棚に上がって、ぺちゃっと腹這いになった。
口をくわっとあけて、ハッハッと蒸気機関車みたいに呼吸している。
犬と違って、猫はふつう口呼吸(パンティング)をしないものだ。
深夜だし、外にいて熱中症になるような暑さではないから、
よほど興奮したとか、激しく動いたとか…
何かただならぬことがあったに違いない。
落ち着かせようとなでると、猛獣みたいにうなる。
さわられたくないらしい。
場所を移動しては、ばたっと倒れるように横になり、
ひたすら機関車式呼吸をつづけている。
床のひんやりしたところで熱を冷ましたいのだろう。
さわった感じで、外傷はないようだったので、
部屋を暗くしたまま、そっとして様子をみる。
10分ほどしたら、起き上がって水を飲んだ。
それから30分くらいの間に、何度も水を飲み、
息づかいも徐々に平常に戻ってきたので、ほっとした。
その後は、お気に入りの箱で、くつろいだ姿勢で、ぐっすり。
11歳になった真鈴は、家ではふんわり甘えっ子だけど、
出歩く猫で、外での行動はほとんど謎だ。
2歳前後から始まった「プチ家出」の癖は相変わらず、
出かけると4、5日帰らないこともある。
このへんに猫を襲うような猛獣は生息していないはずだけど、
息が切れるほどあわてて逃げ帰ってきたとしたら、
それはよっぽど手ごわい相手に違いない。
月夜の山に、いったい何がいたのだろう。
猫がしゃべれたらいいのにと、こんなときには思う。
本日のウラシマ。
農家のオバサンに変装して、
真鈴ちゃんに近づいてみようと思ったのですが、
「馬鹿じゃない?」
と、すぐにバレました。
ちょっとしょんぼりだなあ。
本日の「いいね!」
ウラシマ! イギリスの親戚は偉いぞ(笑)