チエちゃんは春休みにナオちゃんの家に遊びに行く約束をしていました。
学校の家庭科の時間に習ったスパゲティ・ミートソースを2人で作って食べようという計画です。学校で待ち合わせをして、スパゲティとひき肉を買い、バスに乗って、ナオちゃんの家に行きました。
ナオちゃんの家は、チエちゃん家から遠い隣の小学校の学区内にあります。どうしてナオちゃんはチエちゃんと同じ小学校に通っていたのか、はっきりしませんが、おそらく両親が共働きだったせいでしょう。
ナオちゃんは、学校が終わった後、
ベレGのお兄さん家の
床屋さんとは反対隣の従兄弟の家に帰っていたようです。
ナオちゃんの家は、小屋と言ってもいいような小さなお家でした。
6畳2間に台所、お風呂という間取りに、両親とお姉さん2人、お兄さん1人の一家6人で住んでいたのでした。この狭い部屋に一家6人どうやって寝ているんだろうと、いくら考えても想像できないチエちゃんでした。おまけに応接ソファまで置いてあるのです。チエちゃん家にはソファなんてなかったから、ここに掛けておしゃべりをするのが大好きでした。
チエちゃんは、何度もナオちゃん家に遊びに行ったけど、ナオちゃんがチエちゃん家に遊びに来たのは、2回だけでした。両親が共働きで、大人が誰もいないお家が自由に遊ぶことができたからではないかと今になって思い当たります。
2人はさっそく、ミートソース作りに取り掛かりました。ナオちゃんがたまねぎの皮をむいて、半分に切り、横方向に細かく切り込みを入れています。それから、切り目と直角に細かく切っていきます。
ほら、こうすっと簡単にみじん切りができんだ
へえー、すごい!ナオちゃんどうして知ってんの?
それにずいぶん馴れた手つきです。ああ、ナオちゃんはいつもお手伝いをしてるんだ。いつも、おばあちゃんに世話をしてもらっているチエちゃんとは違い、自分で何でもやるナオちゃんです。
にんじんもみじん切りにして、ひき肉と炒め、トマトケチャップを入れて煮込めばミートソースの完成です。スパゲッティをゆで、ミートソースをかけて、いただきまーす。自分たちで作ったお料理の味は格別です。
おいしいね うん、おいしいね
チエちゃんとナオちゃんはいつ頃、お友達になったのでしょうか?
小学校1年生のときからずーっと同じクラスでしたが、1・2年生の時はそんなにお友達ではありませんでした。
全然違う性格なのになぜか気が合って、いつの間にかお友達、それも大が付く親友になっていたのでした。
ナオちゃんは、ショートカットで、ボーイッシュな感じです。
中学生になって一緒に始めた
バレーボールも、チエちゃんは1年で辞めてしまった根性無しですが、ナオちゃんは中学・高校とずっと続けていました。
そして、2人共通の趣味が手芸です。よく2人で、編み物をしたり、ぬいぐるみを作ったりしたものです。