チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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第178話 パッチンどめ

2010年02月04日 | チエちゃん
「チエさん、視力が悪くなっていますよ。
 前回は左右とも1.5だったのに、今回は1.2になっています。
 前髪を切るか、そのまま伸ばしたいなら、きちんとピンで留めましょうね。」
お昼休み時間の保健室で、淳子先生に言われたのです。
 以前にも、そのようなことを注意されていたのですが、無視していたのです。
でも、明確な結果を数字で示されてしまったことで、チエちゃんは、やはりそうなのかと前髪をパッチンどめで留めることにしたのでした。

 3年生くらいまでは、刈上げヘアーを何とも思わなかったチエちゃんなのですが、4年生にもなると、おしゃれ心が目覚め、横分けにして前髪を伸ばし始めたのでした。
というのは、ひとつ理由がありました。
チエちゃんの額の左側の生え際には、もうひとつ旋毛があったのです。
それで、おかっぱ頭の前髪の左側はくるんと渦巻き、いつも跳ね上がっていたので、チエちゃんはそのことを気にしていたのでした。
前髪を長くすれば、その跳ね上がりを隠せると思ったのです。

 パッチンどめは、その頃、チエちゃんたちの間で、とても流行っていました。
誰もが、パチンどめを使っていました。
前髪を留めることで、跳ね上がりも抑えることができました。
流行が去って、誰もパッチンどめを使わなくなってからも、チエちゃんはひとり使い続けたのでした。


 ほら、さじカンさんが描いてくれたイラストのチエちゃんもパッチンどめをしてるでしょっ!