栗東市に新幹線駅を設置する事業をストップさせると公約し、当選した嘉田滋賀県知事が厳しい現実に直面している。
JRとの窓口は、栗東市。昨日、JR東海に工事停止のお願いに出向いた嘉田県知事は、県が市の頭越しにでしゃばる幕ではないと、門前払いの手痛い洗礼を受けた。
滋賀県が抱える借金は1兆円。自治体の規模の違いはあるが、夕張市の比ではない巨額な債務だ。新幹線の請願駅の投資額を考えれば、「もったいない」となるのだが、既に120億円以上を投入し、新駅周辺の土地買収をすませ整備事業に着手しているだけに、栗東市長も事業継続に政治生命をかけている。
一方、住民は、京都と米原が近く、新駅不要との意見が圧倒的。だが、行政の判断は、経済効果が期待出来るとギャップがある。また、既に投下したお金に対する責任問題にも発展する。現市長には、進む選択肢しか無いのだけに、問題が泥沼化するのは確実だ。
不可解なのは、住民不在のまま意思決定した市議会。民意を反映しないで、一部の強大な圧力団体の声に従い政策を決定したとしか思えない。とりわけ、大型公共事業では、意思決定のプロセスにおいて、透明性を確保しつつ、民意を汲み取る最大限の努力を払わないと、住民が長期的に負の資産を背負い込む事態を招くことになる。