昨日、高槻市に住む友人が所用で来沢した。細君同伴で昼食を一緒にしようとの提案だったが、「あなたの友人との付き合いに私が出るのはおかしい」との理由で、妻は遠慮した。
彼の奥さんとは初対面だったが、気さくな女性だった。私は思ったことを隠せない性格だから、奥さんに「二人の昔話を聞いていて退屈でしょ」と無遠慮に訊いたが、一向に意に介しない陽性の方だった。
帰宅して一部始終を話して聞かせたが、考え方の違いは平行線だった。今まで、自分の学生時代の友人や会社の仲間達に妻を引き合わせたことをごく自然だと思って来ただけに、ふと、妻のわだかまりが心に引っかかった。逆に、妻から友人を紹介すると言われたら、自分はどう反応するのかを自問自答してみた。
夫婦といえども固有の世界があるだけに、土足で踏み込まない緩衝地帯が必要だ。夫婦関係の基本は、お互いの人格を認めあうこととわきまえてはいるが、そのテリトリーの線引きは難しい。隠しごととは違った心のひだがあるのは当然だし、人により千差万別でもある。「動機の善が必ずしも結果の善」につながるとは限らない。その思いに辿り着いたとき、おのれの無分別を反省するしかなかった。