先日、「三菱重工業と日立製作所が統合」に向けて動き出したとのニュースに刮目していたら、一転、両社が全面否定したとの記事が出て、もう一度、驚いた。
統合話がご破算になろうと私には、どうでも良いことだが、興味深かったのは、両社の創設に関わった大物実業家の経営哲学の違いだ。岩崎弥太郎と渋沢栄一の確執の象徴的事件は、「隅田川船中大論争」で語られるが、その背景をひもとくと、歴史的にも面白い。
「企業利益は社長の一身に帰す(=逆に損失も同様)」とする岩崎に対し、渋沢は”資本主義の父”と呼ばれる「合本主義」者だから水と油の関係だ。その思想の流れを引き継ぐ三菱と日立が統合検討とすれば、まさに、明治は遠くなった。
100年、或いは、1000年に一度の大震災の復興にあたり、政局絡みで行動する現代の政治家達には、己の信じるところを異にしても、大義の前に協力し合った二人にならって欲しいものだ。