忘れようの無い、否、忘れてはいけない「3・11」は、人それぞれの思いが交錯する。被災者を悼む追悼式や反原発デモなどは、災害の悲惨さを想起させ、心が重くなる。
当事者の悲しみは察して余りあるが、前を向いて動き出したニュースに接すると心が救われる。人の心は、理屈で割り切れるものでないが、悲しみに暮れるだけでは何も生まれない。
そんな時、あの方丈記の前文「ゆく河の流れは絶えずして しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは かつ消え かつ結びて 久しくとどまりたる例しなし。世の中にある 人とすみかと またかくのごとし」を口ずさむ。
「無常観」を体現する難しさを噛みしめながら、利害相反する者同士が、我欲に拘れば拘るほど、国の財政を圧迫し、行政をいびつなものにしていることに思い至り、やるせない気持ちになる。