白馬のホテルの夕食時、和食懐石の品書きに「大町おざんざ」と耳慣れないメニューが載っていた。
テーブル・スタッフに訊ねると、「納豆菌をつなぎに使ったうどん」で、手間がかかり滅多に供さないので、「お客さんは幸運でしたね」との返事が返ってきた。
帰宅して、語源を調べると、信州では、長いものを「長々(おさおさ)」と言い、うどんやそば等の麺類を総称して、「ささ」「おざざ」「おざんざ」と呼んでいたそうで、塩を全く用いず、納豆の酵素をつなぎに独自の製法で地卵や名水で練り上げるのが特徴とあった。
近年、B級グルメ・グランプリなどと騒ぎ立てるが、その地方の食材を活かした郷土料理はどれも美味しく、その土地で味わうのが一番だ。機会があればもう一度食したいと思わせる美味だった。