10月1日、横浜で人を救おうとした勇気の代償に尊い命が失われた事故は、何とも痛ましく、改めて「死」について考えさせられた。
制止を振り切り踏切に入った女性と、目の前で娘が落命した父親の無念な思いを、どう慮れば良いのか複雑でやりきれない。
人命に男女や年齢別の軽重がある筈もないが、これから長い人生を送れるであろう40歳の女性と、私同様、余命少ない老人を比較すれば、不謹慎だが逆であった方が救われる思いがする。
死の瞬間、彼女の表情は苦痛に歪んでいたか、それともにっこりほほ笑んだか、善行と自分の命とを引き換えたのではあまりにもむごい。一番重い荷物を背負うことになったのは、助けられた男性(74歳)かも知れない。
「あなたが生まれた時、周りの人は笑って、あなたは泣いていたでしょう。ならば、あなたが死ぬ時、あなたが笑って、周りの人が泣くような人生を送りなさい。」といった旨のメッセージを思い起こし、合掌し、ご冥福を祈った。