北海道旅行もやがて40数回を数え、見物したい所も少なくなり、季節毎の旬の料理を楽しみに行き先を選ぶようになってきた。
ここ数年、人口190万人の大都市と化した札幌に魅力を感じなくて、疎遠にしていたが、スケジュールの都合で前泊し、久し振りに大通り公園を散策した。
40年数前に初めて訪れた時は、地下鉄開通前で、園内には、凛とした空気が漂い、清冽な水と色とりどりの花の共演に、鮮烈な感動を覚えた。
今では、花や緑の芝生は同じでも、車列を縫うように人が行き交う一角に、公園が埋没したかのようだ。秋の貴重な陽射しを求めてベンチに憩う老人の姿が、どこかうらぶれて愁傷を誘い、やりきれない気分になり、早々に引き揚げた。
政令指定都市の数も20に増え、均一の大都市構造に変貌し、地方都市の個性的な魅力を失いつつある。現金沢市長は、政令市の仲間入りに意欲的だが、加賀百万石の遺産を食いつぶすのではなく、きらりと輝きを放つ「小さな大都市」であって欲しいと願う。