満開の桜が美しいです
今年は、例年よりも桜の時期が早く、開花の後も気温が高いままだったので、一気に満開になりましたね。コロナ禍にあっても、自然の移ろいは粛々と・・・芽はふき、花は咲き、実は実る。悲しいくらいに、気持ちは和みますね
今日は「春の保税展」のご案内をするのですが、その前に、ちょっと楽しいジュエリーのお話を聞いていただきましょう
今日ご紹介をする宝石は、「トルコ石」と「ラピスラズリ」です。みなさんの宝石のイメージとは、ちょっと異質?なところに位置する宝石かもしれませんが、この2つの石は、ジュエリーの歴史の中でも、最も古い2つ、と言えるでしょう。
まずは、「トルコ石」。
この宝石の原産地は、アフガニスタンやイラン、イラク、昔「ペルシャ」と呼ばれたあたりで、トルコでは産出されません。それなのにどうして「トルコ石」と呼ばれるのか?それは、この宝石がヨーロッパにもたらされる時にはトルコを通り、トルコの商いによって紹介されたものなので、フランス語で「トルコの石」、トルコ石となったそうです。
宝石はね、「鉱物」です。大地からの貴重で高価な恵みです では、トルコ石はどのようにして誕生したか?ハイ、それは・・・むかーし昔、アフリカ大陸の北東部の一部分がアフリカ大陸から分裂し、ユーラシア大陸に衝突します。ドドドーーーーン
その衝撃によって、ぶつかられた側のユーラシア大陸で造山運動が起こります。その造山運動によって大量の「花崗岩」が生まれました。その花崗岩の中には「銅」や「アルミニウム」などの成分が含まれていました。
このままでは銅やアルミニウムのお話になってしまいます。トルコ石が誕生するには、もう一つの要素が必要でした 前出の大陸が衝突する前、ユーラシア大陸とアフリカ大陸の間には「テチス海」という海がありました
ところが、大きな衝突のせいでテチス海は内海となってしまい、造山運動の末にとうとうテチス海の水分は干上がってしまったのです。長い長いながいーい年月の間に、テチス海に生息していた生き物達は地層の中に体積していきます。よく高山から貝の化石が出てきた、というのは、こういう造山運動を証明するお話なんですよね。そう、この「生物を由来とするリン」と「花崗岩の中の銅やアルミニウムの成分」とが合体し、トルコ石が誕生したのです
正倉院に収められている円鏡「平螺鈿背(へいらでんはい)」には、たくさんトルコ石が用いられています。天平の時代、西暦700年代には、日本にトルコ石が入って来ていた すごいですねえ・・・
では、次は「ラピスラズリ」のお話。
ラピスラズリは、日本では「瑠璃」と呼ばれていました。原産地は、トルコ石同様にアフガニスタンあたり。近年は、ロシアのバイカル湖近郊、チリなどでも産出されています。ラピスラズリは、ヨーロッパでは古くから顔料としても用いられ、「ウルトラマリン」、日本では「群青」と呼ばれる色です。このウルトラマリンは、ヴァチカンのサンピエトロ寺院内、システィーナ礼拝堂にミケランジェロが描いた「最後の審判」の空の色であり、フェールメールも愛した色で、1800年代に人口のウルトラマリン色が開発されるまでは、金と同じ価格で取引をされたそうです。そりゃあ、宝石を砕いて絵具にするのですから、当然と言えるでしょう。
日本で「瑠璃」と呼ばれたラピスラズリは、仏教の「七宝」の1つとして尊ばれました。(①金②銀③瑠璃④玻璃(クリスタル)⑤しゃこ(母貝)⑥真珠⑦まいかい(中国で珍重された紫色の貴石)注⑦⑧ サンゴ、瑪瑙(メノウ)と記したものもあり)
トルコ石もラピスラズリも、あのツタンカーメンの黄金のマスクの装飾にもふんだんに使われていますから、すでに紀元前1300年には高貴な人々の大切な装飾品であった、ということです。歴史的には、紀元前7000年頃のインダス文明の遺跡からラピスラズリのビーズが発掘されているそうですよ。
いやいや、ジュエリーは私にとって装飾品、魔除け、お守りであると同時に、エンドレスの学びであり、大きな大きなロマンです
「春の保税展
」は、下記の通りです。
コロナ禍にあることは、世界中どこでも同じで、世界のジュエリー達もなかなか発表されるチャンスがなく、出番を失い、眠っています。そういう状況下に催される内原の「保税展」です さあ出番だ~~~~!っと、たくさんのジュエリー達が登場します。バーレーン王国からの初出展、イタリア、アメリカからの初出展工房もありますし、ロシアのモイセイキンのジュエリーも久しぶりにやってきます
開催日は、今回は11日間もありますが、私が会場に行けない日、時間もありますので、どうぞ下記でチェックをして、ご来場の日時をお決めくださいね。それから、保税展の場合のみ、ご来場は登録制です。事前に東京税関に入場申請をいたしますので、ご来場者全員のお名前をお知らせください。保税展のおさらいは、「保税展」でどうぞ
4月9日(金)、11日(日)、16日(金)、18日(日)、23日(金)、25日(日)、29日(木・祝)、30日
(金) 以上8日間は、午前10時30分~午後6時まで
4月10日(土)、24日(土) この2日間は、午後1時~午後6時まで
会場は、内原東京保税蔵置場(ガレリアUCHIHARA B2ホール) 港区六本木7-2-7