模型工房クラフトベース工房主の気まぐれ日記

仕事での模型製作や、趣味のプラモ・ガレージキットの製作過程、TVや映画の事など、気の向くままに書いています。

映画「風立ちぬ」感想

2013-08-16 18:24:14 | 感想
宮崎駿監督の最新作は、零戦の設計者として有名な堀越二郎を主役とする、模型誌連載のエッセイが原作の作品。

このところの宮崎アニメに対する失望感から、今回も観に行くかどうか迷いましたが、飛行機メインの内容であるだけに、そのあたりだけでも楽しめればいいか、と割り切ることにしました。

ネタバレ的な事は書きませんが、観終わっての結論…これはすばらしい!

ストーリー自体、好き嫌いが分かれるものであることは間違いありません。
少なくとも子供が楽しめるファミリー作品では決してありません。
そこをわかっていて、あえて大人向けとして映画化したことを、まず評価したいと思います。

わかる人にはわかるんでしょうが、完全に監督の趣味丸出しです。
しかし宮崎アニメで一番好きなのが「紅の豚」である私には、さらに飛行機づくしのこの作品が楽しくてたまらないのです。
知った飛行機がたびたび登場し、試作工場の様子が綿密に描かれていて、興奮です。
二郎は、ただひたすら飛行機を妄想し、設計し、試験飛行させ、そしてまた妄想する。
隣の人が話しかけても気づかないほどに没頭する気持ちが、私にはよくわかってしまうんです。
結局は兵器、なんてことを言う人がいるようですが、当時は飛行機=軍用機であり、つまりそういう時代なわけで…、これもまた言ってもわからない人にはわからないんでしょうね。
堀越氏が設計した九六艦戦や零戦が名機であるのは、何がどうあれ揺るがない事実。

主役・二郎の声を庵野秀明が担当したことですが、有名芸能人の聞いた声で棒読みされることに比べると、なじみのない庵野氏の声の方がよほどいいですよ。
しかもこの二郎が、素朴で真面目な役柄であることから、大きな違和感は感じませんでした。

もうひとつの重要な要素である、菜緒子とのロマンスですが、これもいろいろ言われているようですね。
二人のやり方は正しいのか、とか。
でもそれって、ふたりの問題ですからね。
私としては、とても純粋で素直な二人の行動は、とても美しく感じました。
特に菜緒子。それも婚約してからが、もう私のツボです。
けなげでかわいいと思うのは、男のエゴか?
ラストは泣きそうになりました。
批判を覚悟で言っちゃいましょう。
ようやくクラリスを超える宮崎ヒロインが誕生した!

あと、タバコを吸うシーンが多いことで日本禁煙学会が苦言とかなんとか…。
一般の感想でも、タバコのシーンが多すぎて、子供に見せたくないとか…。
あえて書くのもはばかられますが、そこをあえて言わせてもらうと…馬鹿じゃないの?
時代にそぐわない?そりゃそうでしょ、大正~昭和初期なんだから。
ちなみに私は、タバコは一切吸いません。

タバコのシーンを含め、当時の町の様子や、家の中の様子など、とてもよく再現されていると思います。
製図の場面なんかも、手の動きなんかが細かい!
しばらくただの無駄遣いでしかなかった、ジブリの緻密な仕事が、この作品では存分に活きています。

というわけで、私としては賛否の「賛」の側です。
劇場には年配のお客さんも結構いました。
そのような年齢層には、口づてに良い印象が伝わっているらしいですね。
コメント
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