今から30年前の今日となる1994年11月12日、メキシコで行われた試合結果です。
WBCストロー級戦(現ミニマム級):
王者リカルド ロペス(メキシコ)TKO8回1分33秒 挑戦者ハビエル バルゲス(メキシコ)
*37戦全勝(27KO)という素晴らしい戦績を維持していた最軽量級の帝王が、37勝(27KO)14敗1引き分けという一階級上のライトフライ級の常連世界ランカーであるバルゲスを迎え、12度目の防衛戦を行っています。
サウスポー(左構え)の選手をそれほど得意としていなかったと言われた当時のロペスでしたが、決してサウスポー選手が苦手だったというわけではありません。右構えの選手と比べると、相対的に勝ちが遅くなっていただけの事でした。
今回ロペスが迎えたバルゲスもサウスポーの選手。1988年6月に、当時のメキシコ国内ライトフライ級王者だったウンベルト ゴンザレス(メキシコ)に挑戦し5回TKO負け。1991年3月には、強打者マイケル カルバハル(米)が保持していたIBFライトフライ級王座に挑戦するも判定負け。黒星は多いものの、敗戦の中で培ってきた経験で常に世界上位ランキングをキープ。そんなタフなサウスポー相手に、ロペスがどのような試合を見せるかに注目は集まっていました。
(以前、強打者カルバハル(左)とフルラウンドの激戦を演じたバルゲス)/ Photo: Youtube
試合は蓋を開けてみると、ロペスが素晴らしいボクシングを見せつけ、一方的に同胞を破ってしまいました。絵に描いたような「闘牛士と闘牛」による対戦は、タフネスを武器に前進し続けるバルゲスを、ロペスが華麗なフットワークと左右の多彩なパンチで翻弄。バルゲスは前進するサンドバック状態となってしまいます。
(対峙するロペス(右)とバルゲス)/ Photo: Youtube
ロペスの軽やかなフットワークについていけず、長距離から放たれるロペスのパンチにも対応しきれないバルゲス。テレビ解説者は、ただただバルゲスのタフネスに驚いていました。しかしそれにも限度というものがあり、あまりにもの一方的な試合展開のためレフィリーは両者の間に入りロペスの勝利を宣告。両者の実力差、相性があったとはいえ、王者が会心の内容で防衛記録を伸ばすことに成功しました。
5大世界戦の一つとして組み込まれたWBCの最軽量級戦。普段は会場がガラガラの前座試合の一つに登場させられていたロペスですが、今回はテリー ノリス(米)やヘナロ エルナンデス(米/帝拳)等、当時の実力者達を差し置いてメインイベント直前の試合に大抜擢されました。そしてその期待に応えるかのように素晴らしいパフォーマンスを披露したロペス。2年半ぶりのメキシコシティでの試合でしたが、地元のファンもロペスの出来には大満足だったことでしょう。
またこの興行には、後に4階級を制覇するファン マヌエル マルケス(メキシコ)がプロ8戦目のリングに立ち、ホセ ルイス モンテス(メキシコ)を2回で仕留めています。