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今年もやってるやってる~

あの試合から30年(IBFスーパーミドル級:1994年11月18日・その1)

2024年11月18日 05時15分30秒 | ボクシングネタ、その他雑談

今から30年前となる1994年11月18日、米国ネバダ州で行われた試合結果です。
IBFスーパーミドル級戦:
挑戦者ロイ ジョーンズ(米)判定3対0(119-107、119-108、117-110)王者ジェームス トニー(米)

*フリオ セサール チャベス(メキシコ)の無敵伝説に終止符が打たれてから一年余り。チャベスを追うかのように最強戦士と目されていたテリー ノリス(米)も打たれ脆さをさらけ出し、さらに反則負けを喫する等、1993年後半から1994年はボクシング界のトップ戦線に大激震が起こっていた時期でありました。

そんな中、最強戦士ランキング(一般的にパウンド フォー パウンドと呼ばれるものです)のトップに居座っていたのが、ボクシング史上最巧選手の一人として挙げられるパーネル ウィテカー(米)とトニーでした。そしてその2人をロイが猛烈な勢いで迫っているというのが1994年後半の世界ボクシングの動きとなります。

王者トニーはそのパンチ力に目を奪われがちですが、ナチュラルな防御感を活かしたボクシングを展開するオールラウンダー。すでにミドル級とスーパーミドル級の2階級を制し、44勝(29KO)2引き分けという素晴らしい戦績を築いてきました。トニーが返上したIBFミドル級王座を獲得し、トニーを追い求めるかのようにスーパーミドル級に進出してきたジョーンズ。26戦全勝(23KO)の戦績が表すように、とんでもないパンチ力を備えたボクサー。それに加え、超人的なスピードと運動神経を備えたスーパーマン的な選手です。

ボクシングの技術と実績に加え、トニー、ロイが揃ってほかの選手には無い生まれ持った身体能力を備えています。評価もとてつもなく高い選手同士の戦いが、遂に行われることになりました。

(注目の一戦が遂に実現)/ Photo: Wikipedia

接戦、あるいは「トニーが若干有利では?」と予想されていた一戦でした。しかし蓋を開けてみると、トニーと比較しても圧倒的なスピードと距離感を誇るロイがワンサイドマッチを演じる事になりました。初回から多彩のパンチとスピードでトニーを寄せ付けなかったロイ。3回にはお互いに挑発する中、挑戦者のパンチでトニーがバランスを崩してしまい思わずリングに手をついてしまいます。そのダウンによるダメージはほとんどありませんでしたが、それを境に試合はますます一方的になっていきます。

(試合は予想外のワンサイドマッチに)/ Photo: Boxing News

中盤戦ではロイのパンチで幾度もピンチに陥ったトニー。体調不良だったと言われていましたが、そこは流石の試合巧者。そのナチュラルな防御感で、ロイのパンチによるダメージを最小限に抑えていました。

(常に守勢に追いやられるトニー)/ Photo: Bleacher Report

終盤戦は確実な勝利を得るためか、安全運転に走ったロイ。しかしトニーには反撃する力は残っておらず、試合終了のゴングを聞くのがやっとでした。

大差の判定で強豪トニーを下し2階級制覇を達成したロイ。ここから彼の驚異的な活躍が始まることになりました。対するトニーはこの敗戦後、長らく裏街道で戦い続ける事になります。

まだまだボクシングを知ってから数年しか経っていなかった自分(Corleone)にとり、当時この試合がどれだけ価値のあるものかは分かりませんでした。しかしその後の両者の活躍を追いかけるに従い、どれだけ重要な試合だったかを知らされることになりました。現在スーパーミドル級を牽引しているのは、ご存知の通りサウル アルバレス(メキシコ)です。いくらカネロ(アルバレスのニックネーム)でも、好調時のロイやトニーに勝利は勿論の事、善戦する事も難しいのではないでしょうか。

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