今から30年前となる1994年12月3日、米国ネバダ州で行われた試合結果です。
WBA5大陸スーパーバンタム級戦:
王者マルコ アントニオ バレラ(メキシコ)TKO8回2分31秒 挑戦者エディ クック(米)
*一戦ごとに世界に近づいていた超新星バレラ。この年の4月にはアルゼンチンに渡り、世界タイトルの挑戦経験を持つカルロス サラサール(亜)とWBCスーパーフライ級王座への挑戦権を賭け対戦。くせ者を判定で下しましたが、まだまだ成長過程にあった若干二十歳のバレラは前日計量に失敗していました。
世界初挑戦の機会が若干遠のいてしまったバレラはその後、一気に2階級上のスーパーバンタム級に転向。10月末にはWBA5大陸王座を獲得しています。1994年の締めとなる今回の試合では、そのWBAの下部タイトルの初防衛戦に、元WBAバンタム級王者エディ クック(米)を迎える事になりました。
(超新星バレラ(左)が、元世界王者クックと対戦)/ Photo: Youtube
1994年の11月から師走には、数多くの世界戦が行われましたが、この一戦はそれらの試合に負けるとも劣らない好カードとなりました。
世界が期待される新鋭バレラは、初回から左フックで元世界王者をグラつかせ、その後右からの連打でスタンディングカウントによるダウンを奪っています。世界王座から陥落していたとはいえ、まだまだ世界トップレベルの実力を保持するクックを相手に、堂々のスタートを切ります。
2回から4回は小康状態が続きましたが、そんな中でバレラは長い左ジャブと左右のボディーでクックにプレッシャーをかけ続けます。5回には再び大きなチャンスを迎えたバレラでしたが、そこからクックが元世界王者の意地を見せ反撃に転じます。
中盤戦は激しい打ち合いを繰り広げたバレラとクック。どちらかが明確なペースを握ることはないシーソーゲームが続きます。8回、クックが攻勢を取りバレラから鼻血を流させます。しかしそこからバレラが反撃に転じ、15発ほどの連打を見舞い一気にストップに持ち込んでいます。少々早いストップにも見えましたが、クックはストップ直後に膝をつくなど、ダメージは明らか。バレラが既に世界王者レベルの実力があることを証明し、後は世界挑戦を待つばかりの状態に入りました。
(クックに左アッパーを見舞うバレラ)/ Photo: Dailymotion
防御がスウェーバックに偏りがちという弱点も垣間見え、しばしばパンチを貰っていました。しかしバレラがその強さを見せつけた事には変わりありません。
この試合のゲストとして、半月前にジェームス トニー(米)を破りIBFスーパーミドル級王座を獲得したロイ ジョーンズ(米)が解説者として登場。トニー戦での予想外の圧勝や今後について2回から5回という長い時間、好試合をそっちのけに会話のやり取りがありました。