
《がんばらない》 今読みかけの本のタイトルである。長野県の諏訪中央病院の院長、鎌田 實氏の著書。ベストセラーにもなったので、ご存知の方も多いかと思う。
誰もが必ず迎える人生の終末。特にがん患者のターミナルケアーについて彼の体験を基に、エピソードを交え、流行らない田舎の病院を患者の立場に立った病院として日本でも有数の病院に築き上げ、病院とは?と問いかける本である。
この本の紹介をしようと思っていた矢先、今日の朝日新聞の朝刊に彼の記事が載ったので紹介します。
《鎌田 實さんからあなたへ》-時には がんばらない 勇気が必要-
がんばるって、日本人の好きな言葉です。あなたもきっと、がんばってきたと思います。ぼくらは親や先生から、がんばれって言われて育ってきました。いたる所にがんばれがあふれています。
がんの末期の患者さんから「先生、今日まで、がんばってがんばってきました。もうこれ以上がんばれません」と涙を流された時、がんばれという言葉が人を傷つけることを知りました。阪神大震災の被災者から、こんな手紙をもらいました。
「はじめはがんばらないなんてふざけていると思った。でもがんばっている時に、がんばれと言われた。これ以上どうがんばれっていうのか、頭に来た」
気持ちはよくわかります。よくがんばっているねといわれるとうれしくなるんでしょうね。
35年ほど前、ピンポンパン体操というのが流行しました。子供たちが「がんばらなくっちゃあ、がんばらなくっちゃあ」と歌いました。あの頃から日本人は子どもからお年寄りまでみんなでがんばり始めました。この30年、がんばって、がんばって、幸せになったでしょうか。少しは豊かにはなったが、ずいぶん大切なものを失いました。
壊したのは経済だけではありません。自然も教育も家族の絆も、大切なものを壊しかけています。日本人はこれからもがんばり続けるでしょう。だからこそ時にはがんばらない勇気が必要なのです。人と競争して、人をけ落として勝ち組にならなくてもいいのです。ゴールをめざして一番にならなくてもゴールへたどりつくプロセスを楽しむのも豊かな人生の過ごし方なのですから。だからがんばらないけどあきらめない生き方がいいと思ってきました。
僕は31年前大学の卒業生の中で1人だけ田舎の病院へ赴任しました。みんなから都落ちするなと言われました。偉くなる競争からは、いち早く脱落しました。後悔はしていません。田舎医者の人生は語りつくせないほど豊かでたのしいものでした。
タイムカプセルで31年前にもどって、大学の教授から大学に残りなさいと言われても、それでも、やっぱり、がんばらないと返事をして、僻地にいくと思います。無理してがんばるだけが人生ではないと思ってきました。自分らしさにこだわりたいと思っています。それがおしゃれな生き方だと信じています。 鎌田 實
時には肩の力を抜いて がんばらない 勇気を持ってみようではありませんか?
明日、彼の著書「がんばらない」の紹介をします。

2005.05.14