
-蕗の薹の絵の前で-
「うまいわねぇ」
「うん、これはうまい」
「花が咲いたのもいいわねぇ」
「いや、咲かないうちのほうがうまいんだよ」
☆
(蕗の薹の絵の前で・ある夫妻の会話)
-星野富弘さん-
「うまいわねぇ」
「うん、これはうまい」
「花が咲いたのもいいわねぇ」
「いや、咲かないうちのほうがうまいんだよ」
☆
(蕗の薹の絵の前で・ある夫妻の会話)
-星野富弘さん-

中身に自信のない僕にとって、馬子にも衣装という言葉を信じ、包装紙でごまかそうとする。
ある日、買ったばかりのお気に入りの洋服を着て出かけた。ブルゾンとパンツにお揃いの色と素材の帽子も被った。
駅のホームを歩いていると、通りすがりの人が僕を見る。振り返る人もいる。チョットいい気分。
地下鉄に乗った。座る席もなく、ドアーに向かい合って立った。走り出した電車のドアーに写った我が身を見てあっと驚く。ズボンの前ファスナーが全開だった。急いで帽子を目深に被りなおした。
暖かな春の日の午後、蕗の薹がうまそうに芽を出していた。
2007.03.02