ランドセル
背負いて肩のうすき子が
今朝は大きな傘をさしてゆく
背負いて肩のうすき子が
今朝は大きな傘をさしてゆく
-相田みつをさん-
一休さんのような少年僧が、暗い道に張られた縄に足をとられた。地面にしたたかに顔を打ち付け、血が噴き出す。しかし、少年は泣くこともなく寺に帰ってゆく。
「衣を着たときは、たとえ子供でも、お坊さんなのだから、喧嘩をしてはいけません」
少年は縄を仕掛けた連中が近くに潜んでいるのを感じたが、この母の教えを守った。母は、血だらけで帰ってきた彼の手当てをし、抱きしめて言った。「よく辛抱したね」。
80歳で亡くなった植木等さんが『夢を食いつづけた男』に書いた、幼い頃に受けた「いじめ」と母の記憶だ。
住職の父は開放運動の闘士でもあり、入獄などで寺にいない。父の代わりに植木さんは檀家回りをせざるをえなかった。
-朝日新聞「天声人語」より抜粋-
2007.03.31