桜をこよなく愛し、桜に命を賭けた桜守の佐野藤右衛門さんは、「人知れず咲く山桜こそ、最高の花見」という。


自粛ムードの中、ちょっと遠出の花見に出かけた。日本さくら名所百選にも選ばれているという長瀞の桜は、花曇りの空模様に、「かすみか雲か匂いぞ出ずる」の如く、春霞に似たやさしさを漂わせていた。

楚々とした美しさは、都内の桜の名所とはまた違った趣を醸し出し、うぐいすの鳴き声が花に花を添え、都会では味わえない静かな花見になった。

藤右衛門さんはいう。「どの桜がいいか、なんて言えんわ。どの女が好きか、と聞かれるのと同じで、それぞれ好きやから。。。」と。

日本人にとって桜は特別のものであるようだが、桜前線は確実に北へ向かっている。