歩くたんぽぽ

たんぽぽは根っこの太いたくましい花なんです。

どの面さげて、どこへ向かうの

2018年04月30日 | 音楽
MOROHA『Tomorrow』



YouTubeで作業用ミュージックを流している。



洋楽なら聞き流せるのに、邦楽はときに日本語歌詞がうるさい。

集中力が切れて隙間のあいた無防備な頭に、とめどない言葉が流入してくる。



ラップなのか、語りというのか、声の高い日本人歌手が待った無しで言葉をボンボン投げてくる。

ギターのシンプルなリフレインと言葉が音として私の心臓にバンバンぶち当たる。

意味なんてまだ読み取れていないのに、この胸に込み上げてくるものは何だろう。



飛び飛びで耳に入る断片的な言葉が鏡みたいにありのままを突きつけてくる。

「身近で容易い欲に溺れた」

「優しさが嬉しかった、反面どうにも苦しくなった」

「どの面さげて、どこへ向かうの」

「結果的には嘘つきじゃねえの」



これが共感なのか、なんなのか、どうしようもなく涙が出てくる。

これが琴線に触れるというやつか。



夢を語る歌はたくさんあるが、現実を多少知ったつもりの人間はもうあまり聞く気になれない。

そんな「つもり」をあっさり超えてもっと現実を突きつけてくる。

それでいてまだもがけと言うのか。

なぜそれがこんなに励ましになるのか。



そうか、私はまだ終わっていなかったんだ。

開き直りでもなく純粋に熱くあっていいんだ。

これは大人青春歌。



どこかで、出来もしない年相応の振る舞いをしようとしていたのだろう。

いろんなことを知ったつもりになって自分の冷え切った心を他人事みたいに分析している。

上下の少ない安定した心を穏やかさだと勘違いしていたのかもしれない。

諸行無常に身を任せあとは同化し流れていくだけだと遠くの方で感じていた。

その流れに抗うことは出来ないけれど、自分の中にある純粋さを大事にしてもいいじゃないか。

醜くてもいいから、偽善も偽悪も捨ててもっとまっさらに生きたい。

大丈夫、まだこれからだ。

今からだ。
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FUJIROCKに行きたい

2018年02月12日 | 音楽




今年も7月の終わりにフジロックが開催される。

先日第一弾アーティストが発表されたばかりだ。







JACK JOHNSON

MGMT

VAMPIRE WEEKEND

CARLA THOMAS

ANDERSON .PAAK & THE FREE NATIONALS



行けない人にとってこれは酷な仕打ちです。

黒人ボーカリスト好きの私にとって今年のラインナップはベリーグッド。

行きたい!行きたい!行きたい!けど行けない!



フジロックは特別、格別。

他のどのフェスとも違う独特の空気がいい。



テント立ち並ぶ草むらの青臭い匂いとバッタ、

雨にぬかるむ泥道、

空中に舞う砂埃、

ビショビショのカッパ、

朝の日差しを受けた蒸し暑いテント内部。

広大なグリーンステージ。

はぁ〜




そして忘れよう。

行けないんだから、そうやってめそめそしていてもしょうがない。

久々に音楽を聴きまくろう。
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それはスポットライトではない It's not the spotlight

2018年02月10日 | 音楽
時々無性に聴きたくなる浅川マキさんの曲。

ジャパニーズ・ブルースって感じかな。


Maki Asakawa 浅川マキ 「 それはスポットライトではない It's not the spotlight (歌詞付) 」




Maki Asakawa 浅川マキ「町の酒場で (歌詞付)」




Maki Asakawa 浅川マキ「こんな風に過ぎて行くのなら (歌詞付)」




Maki Asakawa 浅川マキ 「 淋しさには名前がない (歌詞付) 」





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台無しだわ

2018年01月23日 | 音楽
純粋に音楽を聴くということは意外と難しい。



例えばここに一つの曲があったとして、それを聴くにあたり私たちは様々な情報を受け取っており、

聴くという行為の1割くらいはその情報を得ることに置き換わっている。

ジャンル、年代、肩書き、ルーツ、作者、メジャー/マイナー、評価、アーティストのバイオグラフィー、客層。

ペタペタと貼られたそのラベルをかき分けてやっとこさ曲本体に出会えるというわけだ。



カテゴリー化の必要性は十分わかっているつもりだ。

もしこの世に存在するすべての曲が散らばったビーズのように他とつながりを持たない個として散在していたら、好きな音楽を探すのは一苦労だ。

好きな曲に出会うまで総当りするしかないというのは合理性を求める我らにはちと酷な話。

だからカテゴリー化することで「音楽」を整理整頓し、なんとなく聞きたい曲をわり合い簡単に探し出せるようにしているし、自然とそうなっている。

(実際は音楽が簡単にカテゴリー化できるような明確なものかは疑わしい。)



それはそれとして、ただラベルを無視して単純に曲を聴くという行為に対しどこかで不安を感じるのもまた然り。

「曲 対 自分」というシンプルな構図に慣れておらず、どうしても身辺調査をしてしまう。

それを積み重ねることで、言葉で構築されたうんちく音楽ができあがるというわけだ。



しかし、難しいとはいえ純粋に曲と出会うこともある。

それは大抵自分の意思とは全く関係のない唐突な出会いだったりする。

ラジオや映画で流れた曲に一目惚れならぬ一耳惚れしたとき何とも言えない晴れやかな気分になるが、まさに純粋な「対曲」構図を体現しているといえる。

そしてもう1パターン、何にも左右されない圧倒的名曲に出会った時全てのしがらみを取り払って純粋に曲を聴くことができる。

誰もが納得せざるを得ない光り輝く名曲が確かにある。

ここ数年で言えばMark Ronsonの「Uptown Funk ft. Bruno Mars」やSam Smithの「I'm Not The Only One」がそれに当たると思う。

曲を目の前にしてメジャーとかミーハーとかそういうことがいかにくだらない基準であるかを思い知らされる。

自分がいかにちっぽけな人間かを思い知らされる。

何回効いても新しい。







つい先日自分のもやもやした気分を整理したくてSam Smithの「I'm Not The Only One」を流していた。

もやもやも心の澱みをつくっている原因も幻想ならば、思いっきり泣いて洗い流してしまえばいい。

そういう時に手助けしてくれるのは音楽だ。

曲に身をゆだね、頭を空っぽにする。

体に溜まったおりが少しずつ血管を伝って上ってくる。

きっとそれが涙に変わって目から溢れ出すのだ。

ああなんてこの世界は…

ーゲプッ



ん?

隣を見ると夫Kが間の抜けた顔でこっちを見ている。

途端に体中から涙じゃなくて笑いがこみ上げてきた。

1メートルの距離を隔てて方や悲しみのシチュエーションに浸り、方や夕食を食べ過ぎてゲップを吐き出す。

もっと大きくひっくるめて丸ごと幻想だわ。

そこから引き上げてくれるのは、馬鹿みたいな日常かもしれない。
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玉置浩二という日本の宝

2017年12月10日 | 音楽
音楽が好きでよくライブを観に行く。

今まで観てきた多くのアーティストの中で明確に1番だった人がいる。

それが玉置浩二だ。

何が一番かと聞かれるとよく分からないが、とにかく一番だった。

観に行ったのは好きなアーティストが多数参加するギターフェスで、

玉置浩二に対しては好奇心が少しある程度だった。



彼は最後から2番目に登場した。

オーラというものを彼ほどひしひし感じたのは初めてだったような気がする。

今までワイドショーのイメージが強すぎて靄がかっていた偶像が実像となって目の前に現れた。

魔法使いみたいな黄色い服を身に纏いいかにも変な人という感じだったが、

遠くからでもその寛容さというか懐の広さが目に見えるようだった。



彼は5曲ほど歌ったが、それはそれは不思議な体験だった。

歌いはじめたかと思ったら一瞬で終わってしまったのだ。

今まで観てきた多くのアーティストとは次元が違う。

音楽家として立っている世界が違いすぎるように感じた。

努力でどうにかなる問題ではない、天賦の才。

生で聞くことに彼ほど意味をもたらしてくれた人は他にいない。

そこにいて今歌っているという実感を誰よりも与えてくれる。

歌声が聞いている人の魂にダイレクトに届くのだ。

そして会場にいる全ての人が同じように感じていた、そう確信している。

そこには「今」しかないのだ。



うまく説明できないけど、確実なのはその一瞬が凄まじく幸福だったということか。

その時の音源があるので載せておく。





あとオススメの動画。

アカペラのMr.Lonely


彼の歌を母国語で聞けるというだけで、日本人に生まれてよかったと思う。

今年は玉置浩二にとってもソロ30周年の節目の年でたくさんライブをしていたけど、

チケットがすぐに売り切れてしまうのだからやりきれない。

来年こそは観に行きたいな。
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