雨にも負けるし風にも負ける木偶の坊(でくのぼう)がここにいる。
悟った様な生意気な顔をして、本当は何もない木偶の坊だ。
それでもただ日々を過ごすことに向き合えることができればそんな凄い話はない。
どれだけ頭の中がややこしくても、気持ちのいい風が吹けばそれで救われる。
何から救われるかも分からないまま。
窓を開けると春を思わせる優しい風が部屋に入ってくる。
もちろん風の通り道をつくるために他の窓も開けておく。
庭に咲く梅の花がピークを迎え、そろそろ散る頃にさしかかっている。
風が梅の花を揺らし、地面に落ちたばかりの花びらはとても鮮やかだ。


奇麗であることは特別だ。
奇麗であるだけで他の何かに対して影響力を持つ。
しかし、奇麗であることは取るに足らない日常でもある。
この梅は自分がどれだけ奇麗であるかなんて気にも留めず自分の生を全うする。
ささやかな生が、誰に気に留められるでもなく終わっていく。
ここの大家にお礼を言いたい。
この梅は庭仕事の好きな大家の趣味で植えられたものだ。
自分の家の庭でなく貸家の庭に植えるというのはとても粋な計らいだと思う。
梅の花をありがとう。

悟った様な生意気な顔をして、本当は何もない木偶の坊だ。
それでもただ日々を過ごすことに向き合えることができればそんな凄い話はない。
どれだけ頭の中がややこしくても、気持ちのいい風が吹けばそれで救われる。
何から救われるかも分からないまま。
窓を開けると春を思わせる優しい風が部屋に入ってくる。
もちろん風の通り道をつくるために他の窓も開けておく。
庭に咲く梅の花がピークを迎え、そろそろ散る頃にさしかかっている。
風が梅の花を揺らし、地面に落ちたばかりの花びらはとても鮮やかだ。


奇麗であることは特別だ。
奇麗であるだけで他の何かに対して影響力を持つ。
しかし、奇麗であることは取るに足らない日常でもある。
この梅は自分がどれだけ奇麗であるかなんて気にも留めず自分の生を全うする。
ささやかな生が、誰に気に留められるでもなく終わっていく。
ここの大家にお礼を言いたい。
この梅は庭仕事の好きな大家の趣味で植えられたものだ。
自分の家の庭でなく貸家の庭に植えるというのはとても粋な計らいだと思う。
梅の花をありがとう。
