歩くたんぽぽ

たんぽぽは根っこの太いたくましい花なんです。

eiga.『チェ(28歳の革命/39歳別れの手紙)』

2011年06月13日 | 映画
たんぽぽのわがまま映画批評NO.10
『チェ(28歳の革命/39歳別れの手紙)』アメリカ、スペイン、フランス/2008
監督:スティーブン・ソダーバーグ
製作総指揮:アルバロ・アウグスティン
      アルバロ・ロンゴリア
      ベレン・アティエンサ
      フレデリック・w・ブロスト
製作:ローラ・ビックフォード
   ベニチオ・デル・トロ
脚本:ピーター・バックマン
音楽:アルベルト・イグレシアス

キャスト:ベニチオ・デル・トロ(チェ・ゲバラ)、デミアン・ビチル(フィデル・カストロ)、サンティアゴ・カブレラ(カミロ・シエンフェゴス)、ベンジャミン・ベニテス(ポンボ)、カタリーナ・サンディノ・モレノ(アレイダ・マルチ)、フランカ・ポテンテ(タニア)


実はこの映画一週間ほど前に観たのだが、なかなか感想を書くに至らなかった。
正直書けなかった。

前回観た『モーターサイクル・ダイアリーズ』に続き、チェ・ゲバラシリーズ。
私と相方くんは最近チェ・ゲバラにはまっている。
今度はTSUTAYAで『チェ・ゲバラ&カストロ』というこれまたガエル・ガルシア・ベルナル主演の映画を見つけ借りてきた。
このタイミングでチェに関心が出てくるというのは必然的だ。
今日本は変わらなければならない、そんな事を強く感じているものだから。
チェの志向が日本人的ではないことも含め、彼に対する「憧れ」の様なものがあるのかもしれない。



医者であり、旅人であり、父親であり、革命家、チェ・ゲバラ。
頑に武力闘争を訴え続けたチェ。
彼はキューバでの優雅な生活ではなく、革命の旅を続ける事を選んだ。
キューバでは多くに賞賛されたが、ボリビアでは受け入れられなかった。

革命家とは何か。
あんなにもまっすぐで優しくも、堂々とした革命家がかつていただろうか。
『28歳の革命』のラスト、仲間が鎮圧した街で敵から盗んできた車を見て、それを戒めた場面は印象的であった。
あまりの誠実さに思わず笑ってしまった。
人をいたわり、戦いの厳しさを説く。

彼は世界を敵と味方にわけない、広い視界を持った人物である。
『私はアメリカ人に対して悪意というものは全く抱いていない。あるのはアメリカ政府に対する怒りだ。』というような台詞があったが、それは彼が真の革命家なる証のような言葉だと強く感じた。

彼の旅を終らせたくなかった。


劇中の至る所に散りばめられた控えめな音楽は、その静けさとは裏腹に物語りの過酷さと革命の厳しさ、切なさと哀愁を運んできた。

チェの笑顔はベネチオ・デル・トロの笑顔だったんだ。
そんなことが見えてこないくらいベネチオ・デル・トロの演技も誠実であった。
7年にも及んだチェのリサーチの賜物。

監督はスティーブン・ソダーバーグ。
彼にも正直驚いた。
『オーシャンズ』シリーズの印象が強すぎる。
こんな飾らない映画をつくるなんて想像できなかった。

分からないが、この映画に関わった全ての人々がまっすぐな姿勢で、チェと向き合ったんじゃないかな。
チェ・ゲバラに対する敬意が細心に払われている。

アメリカの政治はそれでも変わらない。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

6.11NO NUKE

2011年06月10日 | 社会
東北関東大震災から丁度3ヶ月の今日、「6.11脱原発100万人アクション」を合い言葉に日本各地で様々なイベントやデモが行われた。
「Independent Web Journal」が中心として、そのアクションの完全ライブ中継プロジェクトを発足させた。
そのため、今日は各地での運動がUSTREAMで中継されていた。
そしてメイン会場では、岩上安身さん前田真理さんらがこのあと21時までイベント中継を続ける予定だ。
今はミュージシャンの斉藤和義、一青窈が出ている。

今日はまた驚くべき事があった。
今日、日本テレビ14時30分放送の「action!未来への復興会議」に田中優さんが生出演されていた。
その会議には自民党の河野太郎さんや長崎大学名誉教授の長瀧重信らも出演していた。
田中優さんの柔らかくもまっすぐな言葉に、強く感銘を受ける。
河野太郎は本当に政治家なのだろうかと言うほど、ほっきりモノを言う。
彼は将来的には原発を廃止すべきと断言する。
また民主党の若手議員である寺田学は、原発の有無について政治家の一存で決めるべきではないとした上で、国民投票なり選挙なりを行うべきとした。

少し前であれば、こんな議論がマスメディアでなされるなんて想像もできなかった。
5月13日に大阪の第七藝術劇場で行われた小出さんの講演の中で、ディレクターの今井一さんがもっと国民が議論できる場が広がればいいというようなことを言っていた。

昨日のテレビ朝日の報道ステーションでは、小出裕章さんと共に参議院行政監視委員会に参戦された反原発派の後藤政志さんがコメントされていた。

少しずつマスメディアのあり方も変わってきてるのだと実感する。

6.11私には何ができたかな?
「6.11脱原発100万人アクション」のライブ中継の視聴率を”1あげる事しかできなかったなぁ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

空からおたまじゃくし

2011年06月09日 | 日記
今日Yahoo!ニュースで変わった記事を見つけた。
スポーツ報知が掲載した記事である。


2009年に全国的な話題となった「空から降るオタマジャクシ」が8日朝、石川県加賀市で見つかった。南河武志さん(65)方の玄関前で約20匹が死んでいるのを、妻の早智子さん(65)が発見。玄関ポーチの屋根にも数匹落ちており、南河さんは「空から落ちてきたんじゃないですかね?」と話している。

 南河さんによると、8日午前6時頃、早智子さんが掃き掃除をしようと玄関先に出たところ、体長2センチ前後のオタマジャクシが干からびた状態で大量に落ちているのを発見した。最初はゴミかと思ったが、後ろ足が出ていたため同種と確認。7日夕に掃除した時はいなかったという。

 09年6月に石川県七尾市で約100匹が見つかって以降、同秋までに北海道から鹿児島までの20道県27市町で発見された「空オタマ」。原因については「鳥が運んだ」「竜巻が巻き上げた」と、さまざまな臆測が飛び交ったが、依然として謎は解明されていない。
スポーツ報知


最近『海辺のカフカ』を読んだせいか、あまり驚かなかった。
『海辺のカフカ』の中には、猫と話せる不思議なおじさんが登場する。
名前は中田さん。
彼は時に空から魚を降らせたり、ヒルを降らせたりする。
きっと中田さんが降らせたのだろう。
人間の常識では計り知れない事が、この世界にはたくさんある。

夢があるニュースだ。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

耳をすませて

2011年06月07日 | 社会
情報錯誤のこの時代、献身的に活動を続けるウェブ上のメディア、「Independent Web Journal」。
まさに権力から独立したウェブ上のメディアである。
その代表である岩上安身さんのツイッターは彼らの精力的な活動を伝える。

今日は京大の小出裕章さんのインタビューがあった。
明後日9日の3時からは、日本を代表する映画監督岩井俊二さんのインタビューを予定している。
彼が3.11以降どんな日本を見たのかという話だ。
以前にNHKで元はっぴいえんど細野晴臣さんのドキュメンタリーを見たが、それもまた彼が一人のミュージシャンとして今回の震災とどう向き合っていくかという話であった。
今、いろんな人が日本という国について本気で考え始めている。
彼らのような影響力のある人が、オピニオンリーダーとして皆を引っ張っていって欲しいなんて言うのは傲慢かな?

岩上安身さん率いる「Independent Web Journal」が、6月11日に『6.11脱原発100万人アクション』なるイベントを開催する。
この活動が大きな輪につながれば面白い。

→6月11日は、震災から3ヶ月の節目。全国で脱原発デモ・集会などのイベントが開催されます。IWJはOurPlanet-TVと共に、「中継市民ネットワーク611アクション」を展開。!みなさまのご協力、参加表明をお待ちしています!詳しくは、こちらから→http://chukeisimin.info/611/
(岩上安身オフィシャルHPより)

いろんなところでいろんな議論がなされている。
本当いろんな。


今日、本屋で久々に『東洋経済』を手に取ってみた。
その6月11日号に元外交官、元防衛大学校教授で現在は作家である孫崎享さんの文章が掲載されていた。
見出しは「世界のパラダイムの転換期、日本だけが旧態依然の懸念」である。
というのは、現在米国にべったりなのは日本だけだという話である。
大震災を経験し世界的に転換期と成る今、日本の外交にとって重要なのはアメリカとの親密な関係だろうか。
しかも、日本がすがる米国との関係性というのは決して相互の国益を踏まえるような外交ではない。
米国通が親密にしているのは、主にジャパンハンドラーと呼ばれる人たちであり、中には沖縄に対する失言でたたかれたメア元日本部長なんかもいるわけだ。

5月末に日本で開催された日中韓首脳会談。
あまり公に報道されていないが、中国は尖閣諸島周辺で起きた漁船衝突事件のようなことの再発を避けるために、海上の危機管理システムを構築することを提案したという。
経済を緊密化しながら、領土問題を巡る緊張を和らげたいという話である。
今、中国が、韓国がそうやって寄り添ってくれようとしているのに、米国との関係性に一生懸命な日本にそのような余裕ははい。
よくメディアで取り上げられる米国主導の環太平洋戦略的経済連携協定、通称TPPには現在経済的勢いを増すブラジルやアルゼンチンなどの国は入っていない。
孫崎さんはTPPは米国の経済優勢を守るための協定であるという。

日本の抱える政治上・経済上の構造的な問題が、日本の向かうべきポジティブなパラダイムシフトへの道を邪魔しているようで、実に歯がゆい。

いろんなところでいろんな議論がなされている。
私たちはその言葉に耳をすまさなければいけない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ノスタルジア in NHK教育

2011年06月06日 | 日記
夕方頃になると、”The子ども向け番組”がNHK教育で放送される。
対象は小学校に上がる前の保育園児から小学校の低学年くらいだろうか。

その時間帯は大概ニュース番組で、最近の話題はもっぱら管総理の退任時期、あるいは民主党や自民党から成る大連立政権などお上のお話。
少し気分を変えようと、チャンネルをNHK教育にまわす。
すると、淡い色使いのセットの中で、顔のある椅子たちがなにやらわいわい楽しげにしている。
そのまま見ていると、「にほんごであそぼう」というコーナーが始まった。
はじめに出てきたのが、ピエロの格好をした野村萬斎。
彼が狂言独特の口調で、戦争の時代からつらつらと昭和を語り始める。
ノスタルジアなんて言葉が幼い子どもに伝わるわけはないし、その怪しい語り口といい、シュールな画といい、子ども向けの番組とは到底思えなかった。
ハイセンスかつマイノリティな番組で、深夜の民放が少数の人向けに流すようなそんな印象である。

そんないちコーナーに感心している間もなく、すぐに次のコーナーが始まる。
すると今度は、子どものお遊戯会のようなセットに三味線を持った変なおじさんが現れる。
彼は最初におどけてみせて、少し太いけどとてもいい声で三味線に合わせて歌いだす。
なんと詩的な歌詞だこと。
一言も聞き逃すまいと身を乗り出した。
それもそのはず、それは宮沢賢治の詩であった。

雲の信号
               宮澤賢治
あゝいゝな、せいせいするな
風が吹くし
農具はぴかぴか光つてゐるし
山はぼんやり
岩頸だつて岩鐘だつて
みんな時間のないころのゆめをみてゐるのだ
  そのとき雲の信号は
  もう青白い春の
  禁慾のそら高く掲げられてゐた
山はぼんやり
きつと四本杉には
今夜は雁もおりてくる


私は休む間もなく感動した。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする