とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

「ある男」(ネタバレ注意)

2022-11-24 22:30:00 | 映画
平野啓一郎の小説の映画化。
原作を読んでいただけに感動もひとしおだった。

安藤サクラと窪田正孝の演技はもちろん素晴らしかったが、妻夫木聡の語り部としての存在感に引き込まれた。
役になりきりつつ、鑑賞者の目線にも目配りするという、動と静の切り替えが見事。
たぶん、この人は監督をやっても凄いのではないか、と感じた。

脇を固める面々も、それぞれの個性を生かして光っていた。

作品のテーマは、個人のアイデンティティとは何かだ。
名前や顔を変えても残るものは何か。
普通は、名前も顔も一生、つきあっていくものなので、個人と分離しているわけではないが。

ただ、自分も含め、世の中の大多数の人は、そこまで際立った個性を持てていないとも思う。
たまたまマイナス方向に飛び出してしまった人のトラウマの存在にも気付かずに生きている。

だとすると、多くの人が世の中に残すことができるのは、その人の優しさや温もりみたいなものだけだったりするのかもしれない。
それで十分と思える作品だった。

点数は、10点(10点満点)。

タイトル:ある男
製作年:2022年
製作国:日本
配給:松竹
監督:石川慶
主演:妻夫木聡
他出演者:安藤サクラ、窪田正孝、清野菜名、眞島秀和、小藪千豊、坂元愛登、山口美也子、きたろう、カトウシンスケ、河合優実、でんでん、仲野太賀、真木よう子、柄本明
上映時間:121分