愛する犬と暮らす

この子たちに出逢えてよかった。

あの「むぎネコ」の意外な正体

2011-08-26 23:43:37 | シェラの日々

☆夜の散歩につきあって
 あのネコの意外な正体がわかってきた。たまさか、毛の色合いがむぎに似ていたので、わたしたちが勝手に「むぎネコ」と名づけ、一時は「むぎの化身か」と気を揉んだ子ネコのことである。
 
 昨夜、12時をまわってから、シェラが息を荒くして廊下を走りはじめた。排泄したいとき、切羽詰まったシェラが見せるわれわれへの「外へ連れてって!」のサインである。ぼくは急いで支度をして、シェラを連れて外へ出た。
 外へ出たからといって、シェラはすぐに用事をすませてくれるわけではない。たいてい、数10メートル移動してからようやくやってくれる。

 昨夜も同じだった。マンションの前にある駐車場の砂利のはずれで小のほうをまずすませた。たいてい、ちょっと間をおいてそのあとに大もやってくれるはずなのに、昨夜に限ってなかなかその気配がない。
 それどころか、さっさと戻りはじめたではないか。かといって、もう帰ろうという風情でもない。そのあたりのにおいをひときわ熱心に嗅ぎはじめた。

 そんなことのために、夜中、外へ連れ出されたのか。おい、おい、シェラよ、しっかりしてくれ。ボケがはじまったのか? ぼくはうんざりしながら、何かに憑かれたようににおいを嗅ぎ続けるシェラにつきあっていた。

☆あの子ネコがやってきた
 すると、マンションの前の家の、塀の陰から例のむぎネコが顔を出し、身を乗り出して「ニャア、ニャア……」と鳴き出した。明らかにシェラを意識しての出現だった。
 そんなことはお構いなしににおいを探して移動するシェラの背後をネコは走り抜け、マンションの正面玄関前にある植え込みへと走り込んだ。

 シェラの移動について、ネコも鳴きながら植え込みの中を移動した。
 やがて、ぼくたちが植え込みから離れていくと、ネコも植え込みを出てシェラに近づき、まるで「ねえ、一緒に遊ぼうよ」と誘うように鳴いてシェラの気を引こうとした。
 ここではじめてシェラが吠えてネコを威嚇した。いかにも苛立った吠え方だった。
 「うるさい! 向こうへいってよ!」
 そんな吠え方である。シェラがネコに吠えついたのをはじめて見て、ぼくは驚いた。
 
 ネコも負けてはいなかった。「フーッ!」と怒って立ち止まり、ゆっくりと元の茂みに戻っていった。そして、再び茂みの中をシェラの動きに合わせて鳴きながら移動している。
 こんな様子を見て、何も知らなかったら、ぼくも以前のようにむぎがこの子ネコに憑依したのではないかと疑い続けていただろう。だが、ぼくはすでにこのネコの正体を知っていた。

☆イヌを待っていたとは
 家人を通じて、近所の人からの情報として、子ネコはイヌが大好きなのだと……。
 だから、むろん、シェラでなくてもいいのである。イヌを見ると寄ってきて遊びたいとアピールするのだそうだ。
 ぼくたちがヤキモキしていたあのころは、植え込みの茂みに入り込んで、前をイヌが通りかかるのを待っていたらしい。
 
 三匹のネコの中で育ったシェラが、どうやら「自分はネコの仲間だ」と勘違いしていたらしいのは仕方がないとしても、この子ネコのイヌ好きはどこからきているのだろうか。
 もしかしたら、イヌのお乳で育ったネコなのだろうか。いずれ、飼主さんに、子ネコが育った環境を聞いてみたくてならない。
 
 現在、午前11時半近い。1時間後くらいに、もし、また、シェラが外へいきたいと騒いだら、今度はカメラも持って出て、シェラとネコのツーショットを撮ってみたいものだ。
 
 あの子ネコにむぎが憑依したわけではなかったというのは、やはり、少なからず寂しい。