☆気づけば苛立つシェラ
今朝、久しぶりにむぎネコがやってきた。シェラの散歩のときである。上の写真のようにクルマの陰から現れ、シェラの様子をうかがっている。
やがて、しきりに鳴いてシェラにアピールするが、シェラは知らん顔。たぶん、耳が遠いので聞こえないだけなのだろうと思う。もし、聞こえていたら、最近のシェラはいかにも煩わしそうに苛立ち、本気で追い払おうとするだろう。
これまで何度か追い払われているというのに、むぎネコは懲りもなく、相変わらずついてきて、シェラの動きに合わせてすぐ脇の家の塀の中を移動している(写真=下)。ときおり、塀の間から顔を出しては鳴いて自分の存在をアピールする。
☆何をそんなに知りたいのか?
シェラはというと、辺りの塀の下やら、草やら、路面やら、およそありとあらゆるところのにおいを無心に嗅ぎまわっている。このしつこさというか、熱心さは尋常一様ではない。姿が見えないむぎの痕跡を探していると解釈したくなるほどの異常さである。むろん、そんな想像は人間の、いや、飼い主の欲目でしかないだろうが……。
あんなにネコに対してはフレンドリーだったシェラが、むぎネコにはつれない態度をとるのも意外に思えてならない。イヌをあまり警戒しないネコに出逢うと尾を振っていたというのに……。
たしかに近年のシェラは、ネコに対して無関心になっていた。だが、吠えついたり姿を見たことがなかった。
☆むぎネコに待っている運命
昨夜、ぼくはむぎネコの新たな情報を家人から教わっていた。
情報源は、むぎネコがときどき縁側に上り込んでくつろいでいたので、てっきりその家の飼い猫だとばかり思っていた家の奥さんである。シェラの散歩の途中、たまたまお会いしたのでむぎネコのことを訊いたのだという。
むぎネコは飼い猫でなく、オスの野良ネコだった。とはいえ、その家で餌をもらってもいるから、半野良というところか。捕まえて去勢手術を施そうと思っているが、すばしっこくてなかなか機会がないとその家の奥さんが嘆いていたそうである。
このネコのファンはもうひとり、わが家と同じマンションにいる。家人にむぎネコが「わんこ大好きネコ」だと教えてくれたひとつ上の階の部屋の奥さんである。
この方もむぎネコに餌を与えている。わが家でも二、三日だが水や餌を与えていた。
野良ネコに餌を与えるのはご法度とはいえ、餌をやりたくなるようなネコでもある。
☆マダムキラーの魅力
この先、やっぱりむぎネコをわが家に迎えようとはするまい。
捕まえてマンションのひと部屋へ閉じ込めてしまうより、近所の奥さんたちに気にかけてもらいながら、わんこの散歩につきあって自由に生きているほうが、やっぱりこのネコにとっては幸せだろうから。
ぼくたちも、ときどきだがむぎの代わりにシェラの散歩につきあってくれる変わったネコを眺めて満足していたい。
それにしてもなんたるマダムキラーのオスネコであろうか。
男としてあやかりたいものである。