☆カラーからハーネスへ
今朝はシェラにハーネ(胴輪)をつけて散歩に出かけた。このところ、やたらにカラー(首輪)を抜いてしまうからである。
以前から、シェラもむぎもカラーを抜くテクには長けていた。それでもしかるべき理由がなければ抜いてしまうことはまずなかった。
むぎの場合は、なんらかの理由でシェラのそばから離そうとすると即座に抜いてしまう。「やるな」と思う間もなく首をひと振りして抜くのである。カラーをギリギリまできつくしてあっても、彼らが抜く気になれば抜いてしまっていた。
抜いたとしても逃げてしまうわけではなく、たいていはその場に立っているか、むぎだとシェラのそばへいくくらいである。
むしろ、抜いてから不安そうにしていたから、それがいけないことだとわかっていたのだろう。衝動的に、あるいは、どうしてもぼくの意に従いたくないときだけまずはカラーを抜いて抵抗の意思表示をしていたわけだ。
逃げ出すわけではなくてもノーリードになるからやっぱり危険きわまりないので、ふたりには念のためにそれぞれハーネスを用意してあった。ほとんど使ってこなかったが、今朝からシェラに装着して散歩することにした。
☆やっぱり危ない
むぎがいなくなって以来、シェラの散歩のときのにおい嗅ぎがしつこくなってなかなか前へ進まない。ときには、とんでもない方角へ戻ってまでにおいを追いかける。
休日の時間の余裕があるときならまだしも、朝の出勤前のかぎられた時間の散歩だと、しかるべき距離を歩き、早いところ排泄を終えて家に戻ってほしい。それなのに、このところのシェラはひたすらにおいを嗅ぐことにしつこくて時間ばかり浪費する。
「さあ、もういいだろう。先に行こうよ」とか、「もう帰ろう」とリードを引くと、首を振って簡単にカラーを抜いてしまう。
このところ、夜中の散歩も増えた。昨夜も一昨夜もそうだった。
突然、外へ出たいと騒ぐので、てっきり生理的な欲求だろうと急いで外へ連れて行くのだが、はたしてそうだったのかどうかこのところぼくは疑わしく思っている。
オシッコは、まあ、当り前のようにやってくれるが、あとはひたすらあちらこちらのにおいを嗅いでいるだけである。しかもなかなか帰ろうとしない。
「おまえ、においが嗅ぎたくて出てきたんだろう」
あまりのしつこさに焦れて、ぼくがリードを引くと、ヒョイとカラーを抜いてしまう。
夜中の散歩中、クルマが近づいてくるとヘッドランプの灯りをそちらへ向けて自分たちの位置を教えると、近づいてきたクルマもぼくの足許にシェラを見つけ、慌てて大きく避けてくれる場合もあるが、たいていはギリギリのところを速度も落とさずに走り抜けていくヘタクソなドライバーのほうが多い。
こんなとき、シェラがカラーを抜き、何かのはずみで数歩動いてしまったら間違いなく跳ねられてしまう。
☆心ゆくまで嗅げばいい
いったい、シェラはなにを探しているのだろうか。
ただの老化から、におい嗅ぎがしつこくなっただけなのだろうか。道端のにおいを嗅ぐ行為は、たしかに以前から見られてはいたが、その執拗さは尋常ならざるものがある。何度となくここでも書いてきたが、もし、むぎを探しているとしたら不憫でならない。
カラーを抜いたあと、悪びれもせずにぼくをじっと見据えるシェラの眼光にぼくは気圧されそうになる。明らかになんらかの意思をもった目である。
今朝からハーネスに変えたのは、「シェラ、しつこくにおいを嗅ぐのはもうやめようよ」というぼくの気持とシェラの安全のためである。
ただ、夜の散歩に引っ張り出されたら、このハーネスで、心ゆくまでにおいを嗅がせてやりたいと思っている。