ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ティーンエイジ・パパラッチ

2011-02-06 21:09:35 | た行
番長のなかで
パリス・ヒルトン株が
グーンと上がった作品。

「ティーンエイジ・パパラッチ」76点★★★★


実在する13歳のパパラッチ少年
ドキュメンタリーです。


監督、主演は
「プラダを着た悪魔」でアン・ハサウェイの
恋人役として知られる
俳優エイドリアン・グレニアー。


彼があるとき
自分を追いかけるパパラッチのなかに

少年、オースティンを見つけて
興味を持ったのが
この映画のはじまり。


エイドリアンは自分がセレブという
特権を生かして
オースティン少年に接近、
彼を逆取材することに成功する。


そして
なぜ少年が
パパラッチをするのかを追いながら

なぜ人々はゴシップを欲するのか、
そうした現代社会の人間心理をも
解き明かそうとするんです。


なかなか、おもしろいですよ。


まず、このオースティン少年が
ネタとして希有。

両親が離婚してる彼は
パパラッチ稼業に
「やっと自分の居場所を見つけたんだ」と
目を輝かせ


「なぜパパラッチをやるのか?稼ぐためだよ」
なんていうんですが
騙されてはいけません(笑)。


彼には離婚はしてても
裕福な家庭と

理解ある両親のサポートがある。


そしてなにより
彼のルックスが最大の武器なんですねえ。


桃色のほっぺに金髪、
ニキビひとつないすべすべの肌。


そんな少年が巨大な望遠レンズを抱えて
一生懸命、走る様は
なるほど、目をひきますわ。


大人たちに可愛がられる術も
心得ていて

パパラッチ仲間だけでなく
取材される側にも
ちゃっかり一目おかれてたりする。


その代表が
パリス・ヒルトンです。


エイドリアン監督は
その人脈を生かして

彼女やマット・デイモン、
ウーピー・ゴールドバーグ(久々に見た!)など
パパラッチされる側にも
しっかりインタビューを実践。


する側、される側の主張を盛り込み
とても公平です。


まあセレブのみなさんは
「やつらがどれだけ迷惑でウザいか」と
吐露するわけですが(笑)


そのなかでパリスが
「ウザいけど私の商売
それで成り立ってるから」
言うのが意外でした。

そのとおりなんだけど
なんだ、わかってるんじゃん。

なかなか切れるね、おネエさん。


ただドキュメンタリーは
取材する側される側は
どんな題材でも
距離の取り方が難しいもの。


この場合は特に相手が幼いだけに
どんどん微妙なことになっていく。


そこに作品として
どうケリをつけるのか?

相当に悩んだところだと思うけど
エイドリアン氏は
収束のしかたも誠実だと思いました。


最後に流れる
レディー・ガガの「パパラッチ」にも
ウケたし。


プレスの表紙もセンスいい。
印画紙の箱だよコレ!
イルフォードの!懐かしい!



★2/5から新宿バルト9ほかで公開中。

「ティーンエイジ・パパラッチ」公式サイト
コメント (2)
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