今年のアカデミー賞候補にあがってる
「トゥルー・グリット」よりは
おもしろかった。
私も相当に、屈折しております。
「シリアスマン」63点★★★
コーエン兄弟が
「自分が撮りたいものを撮った」
監督主義シリーズ第2弾。
昨年のアカデミー賞作品賞にも
ノミネートされてます。
1967年、アメリカ中西部。
大学教授ラリー(マイケル・スタールバーグ」は
中年のユダヤ人。
実直でマジメな彼は
日々を誠実に生きているが
実はさまざまな問題を抱えていた。
家には、ひきこもりの兄が居候中。
大学ではアジア系の学生(あきらかに中国系。笑)から
単位のために
賄賂を渡されそうになる。
長年連れ添った妻からは
突然、離婚を切り出されてしまう。
そんなトラブル続きのラリーを
さらにサイアクな事態が襲うことに……。
冒頭の
不思議な寓話に目が釘付けになり
「なにが始まるんだろう?」と
ワクワクしていたら
続く本編とは全然関係なかったりと
(暗示ではあるんですが)
とにかくコーエン兄弟らしいというか
珍妙で屈折した作品でした。
登場する郊外のユダヤ人コミュニティーは
監督たちのルーツでもあるそうで
「ああ、こういうところで
もやもやとしてたんだ」と
しのばれるような。
そんななかで
な~んにも悪いことをしていないのに
どんどん悪い方に転がり落ちていく男の悲惨を
なんか楽しそうに描いてる、
という感じでした(笑)。
ただ
言いたいことは
はっきり伝わった。
主人公の叫ぶ
「神は困難を与え、考えさせておいて
答えを与えないのですか?」が
ずばり
作品のテーマではないかと。
マジメなユダヤ教信者である主人公が
度重なる災難に耐えかね
教えを求めてラビを頼り
そのたんびに肩すかしをくらう描写とか
衝撃のラスト(?)も
それを表していると思います。
こんな時代に
「神はいるのか」「宗教とは」という
けっこう壮大なメッセージかも。
しかし正直
「ノーカントリー」以降のコーエン兄弟作品は
どれもピンとこない。
「ブラッドシンプル」とか「バーバー」とか
好きだったんだけどなあ。
試写室から出たとたん
映画会社の人に「眠くなっちゃった?」と
言われちゃいました。
……バレてる(笑)
★2/26からヒューマントラストシネマ渋谷ほかで公開中。
「シリアスマン」公式サイト