映画って俳優の努力だけじゃ、
どうにもならないってこと。
「軽蔑」33点★★
作家・中上健次の
最後の長編を映画化したものです。
新宿、歌舞伎町。
チンピラのカズ(高良健吾)は
600万円の借金を帳消しにする代わりに
ポールダンスバーを襲えと命じられる。
その店にはカズが恋する
ダンサーの真知子(鈴木杏)がいた。
店を襲ったカズは
真知子に駆け落ちを提案し
二人は互いの愛を確かめ合う。
二人は
カズの故郷で再出発をしようとするが
そこも安息の場所ではなかった――。
う~んなんですかねコレは。
情感もなく、ぶつ切りで、何を見せられたのかわからない。
セリフが痛々しいまでに作文だし、
そのわりに映画の体裁が整っているのも困る。
なんで主人公が彼女を好きなのか。
彼女がなんで彼を好きなのか。
「愛してるう」と叫ぶ、その裏付けが少しも見られない。
ラストは
ああ、あの映画かあ……(失笑)
あ、あの帽子はそれかあ……とか。
高良健吾も、いままでうまいと思ってたのに
これで見ると素人みたい。
思い切りよく脱いだ鈴木杏はエライけど
本当は役者なら
みんなこのくらいやって欲しいと思うし、
なにより
その度胸と気合いを
映画が足すくってどないすんねん!
で、冒頭に戻り
映画って俳優の努力だけじゃ
どうにもならないってことがあるという話。
ただ
試写を見てからかなり時間が経ってるけど
振り返ると意外にシーンを憶えている。
湖だか川だかの畔に建つ、たまり場のカフェ。
二人が暮らす、田舎のマンションの
ベランダから見える景色。
「見る人のどこかにひっかかろう」という
挑戦と意欲は確かにあった。
それをしないで“うまくできた”ものと
どちらが上とかは
言えないなとも、ちと思う。
★6/4から全国で公開。
「軽蔑」公式サイト