番長、子どもってだけで
うるうるするタイプじゃ全然ないんですが
この映画は好きだ――!
このまま今年度、邦画NO.1かも?
「奇跡」90点★★★★
「誰も知らない」「歩いても 歩いても」の
是枝裕和監督最新作です。
両親の不仲で
離れて暮らすことになった兄と弟。
小6の兄(前田航基)は
母(大塚寧々)の実家の鹿児島に
小4の弟(前田旺志郎)は
父(オダギリジョー)の地元・博多にいる。
世渡り上手の弟は
博多でちゃっかりやってたりするのだが
家族4人で再び一緒に暮らすことを
強く願う兄は
なかなか鹿児島になじもうとしない。
折しも、
鹿児島と博多をつなぐ
九州新幹線が開通することになり、
兄はある噂を耳にする。
博多から鹿児島にくる“つばめ”と
鹿児島から博多に向かう“さくら”
二つの新幹線が交差するとき、
願いを叶える奇跡が起こるというのだ。
兄はさっそく弟に
連絡を取るのだが――?
徹夜明けで観て、
2時間15分もあったけど
本気で「終わって欲しくない」と思いました。
しかも主演の二人が
お笑いコンビ「まえだまえだ」とは
見終わるまで、まったく知らなかった(笑)
新幹線開通に合わせた
企画なんだろうなーと思いつつ、
いや、そんなのどうでもいいっつか。
引きこまれました。
そも
大人が子どもを「面白いな」と思う瞬間って
そのギャップや意外性にあると思う。
つまり
“子どもなのに”世の理に聡かったり、
“子どもなのに”大人をハッとさせる思慮深さがあったり。
そういう「ハッ」によって
自分だって「かつては子どもだったんだ」と
忘れがちなことを思い出させてくれる。
そういうのが
子どもをモチーフにすることの利だと思うんですが
この映画はそんなツボを
実にうまくついてくるんですね~。
「誰も知らない」もそうですが、
是枝監督の描く子どもは
心底、柔らにたくましく「どっこい生きている」。
特に今回は、関西弁を駆使して
世間を「仕分けしたるわ」と斬り、
「おっちゃん、かなわんなー」と世渡りをする弟がウケる。
そして
おそらく弟が生まれたときから
何かの責任を背負って生きてきた兄との
対比が絶妙です。
なんといっても
子どもたちの会話や呼吸が自然すぎ!
ちょくちょく
子どもたちを取材してる身からしても
「どうやったんだ?」と驚いちゃいますが、
子どもたちには脚本を与えずに
当日、シーンの説明とセリフを
口頭で監督が伝えるという
「誰も知らない」方式がとられたのだそう。
なーるほどねー。
火山灰降る牧歌的な鹿児島と、
コテコテ系の博多という
地方・地域の「らしさ」も盛り込んであり、
「ケンミンショー」(by.日テレ)好きにもたまりません。
ほら「ケンミンショ-」でご当地の給食とか
取り上げられるときあるじゃないですか。
あのとき
「え、おっちゃん、そんなのも知らんの?」と
いいリアクションする小学生いるでしょ?
観てて思わず微笑んじゃうような。
この映画
ちょっと、あんな感じがあるんですねー。
樹木希林、原田芳雄、阿部寛など
「歩いても~」組も多数出演。
ええ、もちろん
「鉄」にもたまりませんよ☆
うう、つばめ……さくら……乗りたい……。
★6/11から全国で公開。6/4から九州で先行公開中。
「奇跡」公式サイト