とにかく被写体の状況がおもしろい!
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「クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落」70点★★★★
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これ
ドキュメンタリーの作りとしては特別にうまくはないのです。
でも
とにかく被写体の状況がおもしろいんです。
主人公は1980年代にリゾート物件をシェアして使う
“タイム・シェア”を設立し
大富豪になったデヴィット・シーゲル氏。
そしてその妻で
元モデルのジャッキー。
この映画はもともと「大金持ちのサクセスストーリー」として
二人を撮り始めたものの、
2008年リーマン・ショックが起こり
期せずして「大富豪が転落していく物語」になってしまった――という
ドキュメンタリーなんですね。
取材者としては
正直「マジ?美味しくね?」という展開のネタですわ(スイマセン。笑)
またこれがドキュメンタリーのおもしろさで、
大富豪の転落といっても
フィクション世界で描かれるような「ドカンと破産!転落!」とかを想像すると、
実際はそうではなく、
じわじわと、本人や周囲にいびつな変化が起こっていき、
徐々に崩壊していくものなのだ・・・というのが写っていて
リアルで、ゾクッと怖い。
破綻してから
子ども7人(!)を見る乳母も解雇され
部屋は愛犬の糞尿だらけ。
亭主は部屋にこもり、
妻を遠ざけ、明らかに鬱状態になっていく。
ここで、また意外なのが妻の胆力。
金持ちだった在りし日を悲しむものの、
夫を罵るでもなく、
運命を嘆いて投げ出すわけでない。
けっこうシャンと立とうとする。
そう「ブルー・ジャスミン」よりまともな女性なのですよ(笑)。
まあ、買い物依存癖が見え隠れするのはちとマズいけど
元々大卒のエンジニアだけあって、頭のいい人なのだ。
そんな彼女の状況への対応、
家族の様子を見るにつけ
まあ富豪に関係ない自分にも
「窮地に陥ったときの、人間性」みたいなものの
ある種の、ケーススタディの役割を果たしたと思う。
家族のなかで一人だけ血のつながらない次女の、
冷静さも興味深く。
いろんな意味で、おもしろかったですよ。
★8/16(土)から新宿武蔵野館ほか全国で公開。
「クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落」公式サイト