非常にしっかりした
見応えある作品でした。
「ローマの教室で ~我らの佳き日々~」74点★★★★
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ローマのある公立高校に
若き国語教師ジョヴァンニ(リッカルド・スカマルチョ)がやってくる。
「生徒にやる気を起こさせたい!」と言う彼だが
教室の子どもたちは騒がしく、なかなか言うことを聞かない。
そんな子どもたちを長年見てきた
老教師フィオリート(ロベルト・エルリツカ)は
「みんな頭、空っぽ」と厭世的になっている。
女性校長ジュリアーナ(マルゲリータ・ブイ)も
「教師は学校内の教育だけすればいい」と
割り切った態度を見せるが――?
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イタリアの高校を舞台にした物語。
学校を舞台にした作品には名作多いですが、
これも、かなりおもしろかった。
主たる登場人物は3人の教師。
熱意ある若い国語教師と
それと正反対に
不出来でアホな生徒たちに絶望し、憂い、厭世している老教師。
さらに
四角四面そうな女性校長。
3人それぞれが、生徒との関わりのなかで、
少しだけ何かを変える・・・というお話。
大人の読み込みに耐える、脚本のひだが見事。
セリフもうまく、ユーモアもある。
例えば老教師が
父兄面談で表情変えずに
「お宅のお子さんは・・・湾曲的に言うと稀に見るパーですな」とか(笑)。
笑うわー。
若い教師に
「生徒の全てを救うことはできないの」と諭す校長が
捨てられた子犬のような
一人の生徒を気にかけるようになったり。
かと思えば、
生徒たちに熱弁をふるう若い教師は
生徒に借りたペンさえ、キチンと返せずに無くしてしまう。
「足元見よ」ってことよね。
ただ
老教師のエピソードは
「現実なの?」とか思ったけど(笑)
「先生!」と感動の大円団などないのも大人だし。
教育現場の闘いの日々は変わらず続いていくけれど、
ちょっとだけ、何かが変わっているといい。
そんな気持ちになりますな。
★8/23(土)から岩波ホールほか全国順次公開。
「ローマの教室で ~我らの佳き日々~」公式サイト