ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

私の優しくない先輩

2010-07-03 19:59:51 | わ行
これ、期待してたんだよなー。

「私の優しくない先輩」44点★


九州の小さな島に引っ越してきた
16歳のヤマコ(川島海荷)。

ヤマコには
大大大嫌いな先輩がいた。

それはいつも熱血で汗臭くて、キモい
不破先輩(はんにゃ・金田哲)。


そんなある日。
ヤマコが大好きな南先輩に書いたラブレターが
不破に見つかってしまう。

不破はヤマコを応援しようと
「告白大作戦」計画を立てるが――?!



映画とコラボしたという
カルピスウォーターのCMが好みだったので

そんな感じでテンポよく
ポンポンポンと笑わせてくれるのかなーと
思ってたんですが

違ってました。


これは
意外に現実と夢想のあいだを漂う
少女の心情をリリカルに描いた
青春映画だったんですね。

汗臭く、ウザく、キモい先輩は
思春期少女が向き合いたがらない
現実のメタファだった、という。


大林宣彦さんの世界、という人がいるのも
すごくよくわかるし
(実際、見ながら思いましたよ)

映そうとしているものが
よく伝わってくるだけに言いにくいのですが


この映画は
“青春映画”というのを全面に出したほうが
よいと思うんですよね。

ハイテンション
はんにゃ金田氏のイメージにつられてしまうと

少女の気持ちをすべてモノローグにした脚本、
夢見るシーンや
ミュージカル場面のチャチさ

なにより
笑う気まんまんなのに、笑わせてもらえない演出に
ガッカリするんだと思います。


監督の山本寛氏は
「涼宮ハルヒの憂鬱」の演出など
アニメーション畑のかたで
これが実写第一作目なのだそう。


絵コンテを描かず
演出もアドリブが多かったと聞いて

なるほど
すべて合点がいく気がしてきました。


これも甘酸っぱく汗臭い
活きのいい”いまの青春”の姿なのかもしれませんね。


★7/17から新宿バルト9ほか全国で公開。

「私の優しくない先輩」公式サイト
コメント (2)
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ヒックとドラゴン

2010-07-02 11:39:10 | は行
「シュレック」でおなじみ
ドリームワークス史上、最高傑作なり!


「ヒックとドラゴン」84点★★★★


人間とドラゴンが敵対する時代。

偉大なバイキングになることを夢見る少年ヒック
道具の発明は得意だけど
腕っぷしはからきし弱い。


ある日、ヒックは
誰も姿を見たことのない
最強のドラゴン・トゥースが
傷ついて隠れているのを発見する。


心優しいヒックは
おそるおそるトゥースに魚を差し入れてやり

人間とドラゴンに
あり得ない絆が生まれようとしていたのだが――。


いや~「アバター」より断然イイ話!
スキだなあ。


多種多様なルックスと能力を持つ
ドラゴンの造形など
かなりポケモン入ってる気もしますが(笑)
動物に優しい少年の活躍は
胸がすくような爽快さがあり
道徳的にもとてもいい。

ネコみたいな仕草のドラゴン、トゥースが
めちゃくちゃカワイイしね。



吹き替えがすごくよかったので
3D吹き替え版で見ることをおすすめします。

こういう良質映画をみて
お子さまたちも

「生きてるのは人間だけじゃないんだ」
「人間がエライなんて傲慢なんだ」
「武力行使だけが方法じゃないんだ」

とわかる
イイ子に育って欲しいもんです。


それにしても
自分の道徳のルーツが
「母をたずねて三千里」や「あらいぐまラスカル」など
カルピス子ども劇場にあると
改めて再認識してしまった。

動物と人間がコンビを組む
イイ話が猛烈に好きなんだよ~~!


★8/7から全国で公開。

「ヒックとドラゴン」公式サイト
コメント (6)
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