アーバンライフの愉しみ

北海道札幌近郊の暮らしの様子をお伝えしています。

貧しくとも志高く~澤田ふじ子著「やがての蛍」

2014年06月19日 | 読書三昧
京の市井に生きる人々の哀歓を丁寧に描く澤田さんの表題作を含む連作短編7編を収める。京都市井絵図シリーズ第2巻。



物語~江戸時代の京都。風呂屋(当時の銭湯)「梅乃湯」を舞台に、日々生活に追われながらも絆を重んじ生きる下町の人々の物語。表題作は、惚れて子を為すも、夫にすべき男の実家が遊女屋を営むことを知り、別れて息子を育てながら蕎麦屋で働くお志保と、彼女らを暖かく見守る周囲の人々の思いやりを丁寧に描く。

澤田さんのご本をきっちり拝見するのは、今度が初めてのような気がするが、構成も登場人物も魅力的で、且つ、文章もしっかりしているので、安心して読むことができた。

この本は、2006年の出版なので、かれこれ10年になろうとしている訳だが決して古さを感じさせない。勿論、時代物だからという側面もあろうが、今後も同氏の作品を読んでいきたいと思った。
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