アーバンライフの愉しみ

北海道札幌近郊の暮らしの様子をお伝えしています。

ドストエフスキー著・亀山郁夫訳「カラマーゾフの兄弟」全5巻

2018年01月07日 | 名作読破PRJ

2巻まで読んだところで、どなたかが(市の図書館から)1度に全巻を借り出してしまったため中断していたが、やっと返却されたので、早速借りて来て続きを読んだ。文庫版全5巻(2,550頁)の大作。


「罪と罰」もそうだが、この物語も、当時のロシアにおける宗教問題がベースになっているので、その辺を読み進むのに難儀した。勿論、細部まで理解しながらとは行かないので、取り敢えず、字ずらを追いつつ先に進んだ。

ただ、本書の神髄を楽しむには、そこは避けて通れないと訳者は言う。

最後の5巻は、物語のエピローグがチョロっと収容されているだけで、残りは、著者の生涯とこの物語の解説(194頁)だ。

それにしても、著者の多面的な思考と描写は圧倒的で、昨今、こうした書き方をする(できる)作家はいないのではないか。それこそ、名作に親しむ価値との感を深くした。

長男による「父親殺し」がメインテーマだが、物語の背景としての家族や父子愛、愛と嫉妬、宗教や裁判等々、多岐にわたる難問が読者を苦しめる。

また、構想された続編が(作者の死によって)実現されなかったことも、物語をより難しくしている。

コメント